まとめ
ヨットを楽しむ方法としてはいろんなやり方があります。移動手段として使う場合もありますし、ピクニック的セーリングもあります。別荘として使う方法だってあります。フィッシングだってできない事は無い。しかし、長い間、このヨット界を眺めてきた結論としては、やはりヨットはセールを持つのがヨットであり、セールはセーリングするのが主たる役目であり、ならば、それをいかに楽しめるかが最重要ポイントではないかと思う次第です。ですから、どんな遊び方をしても良いわけですが、その核としては、やはりセーリングそのものを楽しむ姿勢を持つ事、これさえあれば、何十年でも遊ぶ事ができるのではないかと思います。 さて、セーリングと言っても、ただぼ〜とセーリングする方法から、腕を高めていく方法もあります。もちろん、核としてのセーリングは質を上げるセーリング、その為にはどう走るかを考えながら、その感覚を楽しむ事になるかと思います。 セールを上げたら、クローズで走る、例えばですが、セールを一杯引きこんで、上れるぎりぎりを走る。その時、ヒール角度が25度ぐらいで、ウェザーヘルムも強く無く、スムースに走れるなら、そこが最も良いバランスになります。それより風が強くなるとすると、セールをもっとフラットにする。逆に、風が弱くなるとドラフトを深くする。その他、操作はいろんな考え方で、いろんな操作が生まれます。 基本は、風の強さに対して、セールカーブをどう創るか?と風の角度に対して、セールをどういう角度にセットするかになります。そして、その時に、船体のヒール角度と舵がどうなるかで、全体のバランスを見ながら、自分の判断で、どういうセーリングをするかを決めます。つまり、自分の判断という要素があります。これでなければならないわけではありません。もし、自分の判断が無く、決まりごとのようにセーリングするのであれば、それは面白さの限界になります。いろんな考えといろんなセーリングがある事によって、セーリングは豊富なバリエーションを持つ事になります。それが面白さの源泉ではないかと思います。 今走る時、角度なのか、スピードなのか、どういう目的なのか?そういう事を考える事が、面白さを創造する事になると思います。それ無しでは、目的無しでは、どういうセーリングをするかの考えが無いならば、そこに意思が無くなり、面白さが減衰していくでしょう。風が強くなったから、シートを出して風を逃がす。良くやる方法ですが、シートを出したら、リーチが緩んで、風が逃げる。しかしながら、上りギリギリコースで走る時、セールを一杯引き込んだはずで、それは上り角度が最も良い状態を作る為で、それを出したら角度が落ちるという事になります。意識してそうする分は構わないと思いますが、角度を落とさずに、強くなった風の対応も考える必要があります。セールをフラットにする、シートを出してリーチを緩めるが、トラベラーで引き上げて、セールの下部の方で走る。 ジェノアなら、トラックのリードブロックを下げればリーチが緩む。上部で風は逃がすものの、下部で角度を稼ぐ。強い風なら十分に走れる。リーフする方法もあります。 つまり、角度なのか、スピードなのか、何を目的にどう操作するか、そういう知識を少しづつ得ながら、そういう意識を持つ事で、自分のセーリングに自分の意思が生まれます。要は上手かろうが、下手だろうが、自分のセーリングに意思を持つ事ではないかと思います。今、何故、そう走るのか?その意思があるからこそ、うまくいったり、失敗したりが良く解る。その解る事が面白さへと繋がり、進化の原動力となると思います。そして、それが面白さの源泉ではないかと思います。 最後になりますが、いかなるヨットの使い方を楽しんで良いわけですが、是非とも、その中心には、自分のセーリングを楽しむという事を核に据えておかれると、一生の遊びとして、ヨットとつきあえるのではないかと思います。うまいか、へたかの問題では無く、進化していくプロセスこそが、面白さだと思います。是非、自分のセーリングを創って下さい。そして、一生の趣味として楽しんで頂きたいと思います。セーリングには、知識と技術が必要ですが、それだけでは面白さに限界があります。うまいだけではつまらない。面白く無くてはいけません。その為には、知識、技術はもちろんですが、その前提として、自分の意思を持つ事、どういうセーリングをするかという事、それが面白さには絶対必要なのだろうと思います。 これもいろんな考え方があるでしょうから、鵜呑みにはしないで下さい。最終的には、何が面白いのかは、自分で見つける、創造していく。そういう主体性が必要なんでしょう。是非、セーリングにおいて、自分なりの発見、創造をして、おおいに楽しまれる事を願っています。 |