第十三話 VACATION

今年もやってきた。長〜い夏休み、デンマークのフォークボート社から丸々1ヶ月の夏休みのお知らせが届きました。交代で休んだりじゃないんですよ、会社丸ごと1ヶ月休みなんです。恒例行事なんです。ボート業界だけじゃない。みんなそうなんです。昔、サラリーマン時代、ドイツの会社で働いた事があります。さあ、今からドイツは休みに入る。そうなると、全く連絡が取れなくなるので、夏休みになる前に事を処理したり、事前に物とったり。大変でした。日本は休み無しですから。昔から不思議に思ったのですが、ヨーロッパは長い夏休み、日本は必死で働く。なのに、彼らはサマーハウス持ってたり、優雅に見える。日本はこんなに働いてるのに、どうも変。

でもまあ、それは兎も角、皆さん、1ヶ月の休みがあったらどうします?それも気兼ねなく、毎年ですよ。どうします?こりゃあライフスタイルは変わりますよ。これがヨーロッパなんです。日本のスタイルとは全く違う。違うものを、同じように過ごそうと思うところに大きな間違いがある。仮に、11ヶ月間全くヨット乗らないにして、この1ヶ月間、丸々ヨット三昧すると、結構乗った気になりますよね。
そりゃあ、別荘にもなるでしょう。2,3日の事じゃないんですから。快適にもしたくなる。遠くにも行きたくなるし、行ける。休みに読書だって、何だって、優雅なもんです。そういう土壌でヨットというものが発展してきたわけです。

日本のスタイルはこうはいきません。でも、良く見ますと、祝日というのがたくさんあります。これ、まとめますと結構な休みになります。でも、根本的に違うのは飛び飛びだという事。日本人も休むが休み方が違う。この異なるスタイルに、同じヨーロッパスタイルで遊ぼうというのは無理があります。
同じ2,3日だとしても、1ヶ月のうちの2,3日と、2,3日しかない2,3日とは違う。日本は日本スタイルで、飛び飛びの休みをどう遊ぶか、これが日本流ではないでしょうか。以前知り合った中では半年働いて、半年休むという医者も居ました。日本じゃ考えられません。遊びのスタイルが違うんですから。

これならキャビンがでかくなるのも納得、外洋艇が売れるのも納得、じゃあ、日本はどうか?飛び飛びの休みをどうすれば良いか?やっぱりデイセーリングじゃないでしょうか。1ヶ月休みなら家族ぐるみになるでしょう。でも、飛び飛びなら家族は来ない。どう考えても、デイセーリングは日本人のものじゃないかと思います。シングルハンドも日本人のものじゃないかと思います。こういうスタイルは日本から出てもおかしくないと思います。

そのヨーロッパ人にもデイセーリング、シングルハンドが出てきている。これいかに?ヨットは船旅じゃないなら、デイセーリングのスポーツクルージングが最もセーリングを堪能できる。面白いという部分です。レーサーは昔からやってましたが、クルージング派の方々も、そういう乗り方に目覚めてきたんではないかと勝手に想像してます。クルージング派でも、セーリングは面白い。スポーツするのが面白い。多分、彼らはサマーハウスに滞在しながら、時折、ヨットをスポーツしてるんだろうなと思います。日本はそうはいきませんが、飛び飛びの休みにスポーツする。ぴったりじゃないかと思います。そういうのにでかいキャビンじゃ気持ちがヘビーになるだけです。おしゃれなヨットをピカピカに磨いて、粋に乗りこなす。日本人にはこれが良い。スポーツして、セーリング堪能して、集中して、腕上げて、多分、そんな乗り方がこれから世界中に流行っていくんじゃないかと期待してます。ヨットに何日も乗り続ける、かなり深くかかわっていく。それもひとつのやり方ですが、もっとクールに、さっと乗ってさっと帰る。それで、次の遊びに行っても良いじゃないですか。ヘビーな乗り方もあればこういう軽い乗り方もあっていい。

そんなお気楽セーリングにはどんなヨットが良いか?できれば美しいのが良い。存在感のあるのが良い。でかいだけのヨットにも負けません。

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