第五十五話 整備

日本の車はみんなきれいです。でも海外に行きますと、とんでも無いようなオンボロ車が走っている事があります。ある時は、走っていて、急に火を噴いて燃え出した車を見た事もあります。日本では殆どありえない。

ところが、ヨットに関してはこれが逆転します。海外のヨットは実に良く手入れされている。それに比べると、日本ではほったらかしのヨットも少なく有りません。これは何故でしょうか?ヨットは手入れ次第とは良く言われます。年式もありますが、どれだけ手入れされてきたかで、その艇の状態は全く違ってくる。そうは言われながらも、手入れはされない。否、そういうのが多い。

車に比べますと、でかいので、自分で手入れするにも大変だし、業者にやらせるとお金がかかる。それに車は自宅にあるが、ヨットは遠いマリーナにあるというのも理由のひとつかもしれません。いずれにしろ、車は不具合があると、そこで止まって助けを呼ぶ事もできますが、ヨットの場合はそうはいかないので、整備はもっと気を使う必要がある。

でも、ヨットというのは実に優秀です。車が故障しないと言っても、道路は良いし、車検もちゃんとしている。それに比べますと、海は悪路と同じですし、それに潮という機械には大敵の環境、それでも、たいていはちゃんと動いてくれる。ヨットも車ぐらいに気を使ってやれば良いんでしょうが、そうしなくても、動いてくれる。結構優秀だなと思います。

でも、少なくとも、10年に1回ぐらいは総点検しても良いのではないかと思います。不要な物は撤去して、掃除するだけでも、相当きれいになります。できれば、マストも倒して、整備しなおす。ヨットのサイズにもよるでしょうが、マスト倒しもそう難しい事ではありませんし、10年に1回ぐらいは、そのくらいの整備はやった方が良いのではないでしょうか。これから先、まだまだ乗るヨットです。

そういう事をやったヨットヨットは安心でもありますし、状態もきれになりますから、気持ちも良いはず。遊びは、気持ち良くやれる環境を自分で作る必要があります。できるだけ自分で点検して、整備をする。自分でできないところは、業者にやらせるにしても、自分のヨットの、どこがどうなっているかが良く解ります。これはいざという時に、どこを見れば良いかが検討がつくようになる。これもノウハウのひとつ。

全体を把握するというのは、とっても大事で、部分を修理させても全体を把握しておかなければ、1箇所修理しても、別なところでトラブルが出るという事もあります。修理を依頼すれば、業者は頼まれた箇所を修理するのみです。

セーリングをする、遊ぶ、楽しむ、そういう事も大事ですが、その為の整備、全体の把握という、遊びを気持ち良く遂行する為の環境造りも大事な事です。壊れるまでほったらかして乗るだけという方がかえって高くつきます。

それで、天気の良い日に、楽しみの一貫として、片付けたり、掃除したり、点検したり、動く物は動かしてやる。それも組み込まれたらいかがでしょうか?案外、結構気持ちが良くなったりします。ビフォー、アフターでは目に見えてきれい度が違ってきますから。

ついでに、リギンの調整なんかもしなおす。やり方は本なんか見て勉強するか、メインテナンス業者に聞いても良いし、シート類もきれに整理したり、必要なら交換したり、自分でやると結構楽しめます。

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