第十七話 もっとスピードを

欧米でのデイセーラーは何度も紹介してきましたが、さらに進んで、欧米では30フィート前後のデイセーラーでもっとスピードを楽しみたい方々向けのヨットが増えてきました。例えば、イタリアのブレンタデザインのB30、その他、クロスカレント33、エッセ850と990、それに今度新しくアナポリス30というのも出てきます。

これらはみんな、広いコクピット、キャビンはその代わり犠牲になってます。デイセーラーですから。
目指すものはイージーハンドリングのハイスピードセーリングです。
  左の写真はクロスカレント33ですが、だいたい
  みんな似たようなデザインです。結局、デイセー
  ラーヨットの帆走性能をもっと追求していった
  ヨット、ハイテクを使った船体、カーボンマスト、
  等々、軽くて堅い船体と上部は軽く、スタビリ
  ティーは高く、ショートハンドやシングルでも可
  能で、その気になればクルーを数人集めれば
  レースでもすっ飛んで走る。お手軽に扱える、
  スピードボートというわけです。こういうヨットも
  デイセーリングとしては非常に面白いと思いま
  すが、まあ、なかなか日本では受け入れられな
  いでしょうね。実際は遊んでみると面白いと思うのですが、通常のデイセーラーでも、まだまだ受け入れがたい面がある上に、さらにこういうヨットは難しい。

ハイパフォーマンスのしかもデイセーラー的な発想は、イージーハンドリングにあり、良くデザインされたヨットはバランスも良く、スタビリティーも高いので、実にスムースで、楽で、尚且つ帆走が面白い。ちなみにこのヨット、33フィートでありながら2tしか重量が無い。実に軽い。家族でのセーリング、仲間達とレース、そしてシングルでも可能とうたっています。

こういうヨットはレースと思うのが一般的ですが、もちろんそういう点も視野に入りますが、レースでは無いにしても、実に面白い、楽しいヨットだろうと思います。いつか、日本でも、こういうヨットでセーリングを楽しむ人達が出てくると良いなと思います。考えてみれば、クルージングで遠くにいかない限りは、セーリングを楽しむのが基本、ならば、遅いより速い方が面白い。以前は、そういうスピードボートはクルーをたくさん要した。しかし、今は、もっと楽に、ハイスピードを楽しむようになってきました。

例えば、F1の車なんかですと、操縦が難しい(乗った事ありませんが、多分)、それが、市販のスポーツカーという物もあるわけで、それと同じで、殆ど全てを帆走に集中させると、一体どんなセーリングになるのか?簡単操作で、ハイスピード、それもシングルでも可能というのですから、そういう時代になってきているのでしょう。従来ですと、こういうヨットはクルーをたくさん要するとか、操船が大変とかでしたが、最近のは、よりイージーで、ハイスピード。

欧米でももちろんキャビン重視のヨットが主流であります。しかし、一方ではこういうヨットも盛んです。面白さ、楽しさに対する考え方の違いがあります。家族でキャンピングカーで出かけて楽しむのと、スポーツカーでその走りを楽しむのとの違いがあります。どっちが良いんでしょうか?どっちを楽しむタイプであるのかによりますね。

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