第四十三話 信頼できるヨット

セーリングをしていて、強風に見舞われ、このヨット大丈夫かな?と思うと不安になります。不安の中での航海は特に辛いものがあります。自然は常に変化し、荒れる事もある。でも、自分のヨットが信頼できれば、根底には安心感がある。逆に言うと多少のスリルさえ楽しむ事ができるかもしれません。そういう意味ではヨットは自分の味方にしておかなければならない。

遊園地のジェットコースターも、そのものが信頼できて、安心だからこそ、あんな回転したり、急激なアップダウンも楽しむ事ができます。しかし、これがジェットコースターがどこに飛んでいくか信頼できないなら、乗る事さえできなくなる。

信頼できるヨットというのは、もちろん、ヨットそのものの性能もある。しかし、その性能を変える事はできない。それで、できる事は自分のヨットを良く知る事と、メインテナンスをする事になる。どんなヨットでも、いかなる場合において100%完璧という事は無いわけで、何が起こるか解らない。しかし、より安心できるヨットはある。それに自分が熟知していれば、余計安心です。

旅をする場合、最も頼りにするのがエンジンでしょう。ならば、そのエンジンには最高のメインテナンスを心がける事が必要になる。オイルやフィルターの交換はもちろん、オイルや燃料の漏れはないか、ベルトは緩んでいないか、オルタネーターはちゃんとバッテリーを充電しているか、錆はないか、冷却水はどうか、スタンチューブは、ペラは?時々はエンジンルームを除いて点検する必要がある。自分の安心の為ですから。そしてエンジンルームは特にピカピカにするつもりでいた方が良い。オイルの一滴でも落ちればすぐに発見できるように。知る事は安心に繋がります。

セール関係で言えば、古いセールは破れていないかもしれませんが、強風で突然破れる事もある。シート類は切れ掛かっていたり、とにかく、自分が安心できるように、観察しておく必要がある。ステイのワイヤーが緩んでいないか?

その他にも、バッテリー関係、ターミナルが緩んだだけで、エンジンが掛からない事もある。電気が来ているのに掛からない。ターミナルの緩みで充分な電流が流れない。

船底のバルブはちゃんと開閉できるか?固まって動かなくなったバルブは非常に多い。時々は、いろんなところを除いて、動かして、確認しておく必要があります。安心の為です。

まあ、そんなに頻繁にトラブルが起こる事は無いでしょうが、だからといって放っときますと、ある日突然という事があります。エンジンルームとビルジ溜まりぐらいは毎回でも見るつもりぐらいあった方が良いかもしれません。安心して乗れると、セーリングも旅も楽しくなる。どんなに性能の良い、外洋を走れるヨットであっても、これら無しでは、信頼はできなくなります。

トイレのハンドポンプがスカスカになっても、清水ポンプが壊れても、ビルジ溜まりに清水がたまっても、大事には至らない。でも、ビルジ溜まりに異常に海水が溜まったら、海水は無限にある。どこから進入してきたかを必ず確認する必要がある。大事に至る可能性がある。

最高のヨット遊びをする為に、最高のメインテナンスを、どんなヨットかを知るとそれだけでも安心に繋がる。メインテナンスに関して、多少臆病なくらいが良いと思います。

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