第五十五話 風向風速計とスピード計

ヨット遊びにおいて、セーリングを遊ぶとするなら、このふたつの計器はとっても面白いデータを提供してくれます。経験から来る感に頼る事もあるでしょうが、客観的なデータとして、帆走の基準とする事ができますので、これからいろんなセーリングをしていく上においては、とっても有効かと思います。

何となく、このぐらいのセッティングというより、何ノットの風、風向は何度の方向から来ているのかが明確になり、また正確になり、その時の帆走をいろいろやって、それでデータがひとつできます。
このデータは最高のセッティングでは無いかもしれませんが、それでも、データとしてひとつ、記憶に残ります。例え、忘れてしまっても、何度も乗るうちに、データはちゃんと記憶されるようになる。
すると、次に乗った時、前と同じような条件だった時、同じように走るか、或いは速いか遅いか?
そうやりながらより適正なセッティングができるようになる。基準がバラバラになりますと、こうはいきませんので、このふたつの計器はその基準造りになると思います。

自分のヨットが何度で風上に上れるのか、スピードは? これらは風速によっても異なるし、実にいろんな状況において異なりますので、それらを意識して乗るという事を続ける事は、セーリングを意識する事ですし、セーリングを意識すれば、いろんな細かい状況までもが意識され、それらは自然に記憶されていく。そのデータが積み重なっていくという事が、先々の自由自在になっていくのだろうと思います。

スピードは誰でも速い方が良い。クルージングの方でも、遅いより快走した時の方が気分が良い。しかしながら、そうする、速く走る為の努力はあまりされません。たまたま良い風が吹いてきたから、良く走る。気分は良い。或いは、後ろから来たヨットに追い抜かれたり、先に走るヨットに離されたり、やっぱり速い事は気分が良い。それに速いのは、抵抗が少ない事になり、ヨットにとっても良い事かと思います。何も、他のヨットより速くなければという事では無く、競争すればきりが無いので、自分のヨットがよりスムースである事が大事かと思います。

このふたつの計器は、セーリングを遊ぶという点においては、実におもしろく遊ぶ為のデータを提供してくれますから、別にレースで無いにしろ、そういう基準をもって遊ぶと、セーリングにおいてもはりあいも出てくるし、データとして記憶され、積み重ね、それらの膨大なデータは別のヨットに乗った時にでも役に立つと思います。自分のヨットより上りが良いとか、悪いとか、あいまいでは無く、ここがどうこうという事が明確にわかってくる。どんな乗り方にしろ、客観的にヨットがわかってくると思います。

長い航海のクルージングにはGPSは必携となりました。そして、セーリングにはGPSよりも風向風速計とスピード計が必携とは言いませんが、あれば遊びがぐんと面白くなると思います。セーリングを意識する、セーリングを遊ぶ。これはクルージングを遊ぶのとは違っていますから。別の遊びです。セーリングを10倍面白くする方法かと思います。

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