第二十七話 Prop Walk

セーリングを気軽に楽しむ為には、気軽にマリーナから出たり、入ったりできるようになる事が必要になりますが、広いマリーナなら良いのですが、結構、狭い方が多いので、ちょっと練習が必要になります。その場合に知っておきたい事が、プロップウォーク、プロペラの歩き?

プロペラが回転しますと、水をかく。それによって、海水が押し流され、水流と反対方向に動く事になります。これで、前進したり後進したりできるわけですが、もうひとつ、横にも動く力が加わるので、その事をプロップウォークと言います。既にご存知の方も多いのですが、そういう方は無視してください。

プロペラが右回転か左かが、わからない時。桟橋に係船ロープを繋いだままで、エンジンのギヤをバックに入れます。ヨットは繋がれて動きませんので、ロープがピンと張った状態で、プロペラが回転しますと、バックギヤですから、海水は前側に流れてきます。その時、左舷側の流れと右舷側の流れを観察して、どっちの方が流れが多いかを見ます。これによって、そのプロペラがバックギヤに入った時に、どっち回転なのかを判別する事がきます。

水の中では、深い所の方がよりプレッシャーがあり、プロペラ上部よりも、下部の方が力がある。よって、スターンの左右への動きはプロペラの回転円の下側の方により多く影響を受けます。それに、プロペラ上部は海面に近いので、水流が海面に達すると弱まってしまいます。上記の方法で、プロペラを回転させる時、左舷側の水流が右舷側より大きい時、その水流に押されて、スターンは右舷側に行く事になります。水流を左側に多く流しています。つまり、この時、プロペラはバックギヤにおいて、後ろから見て右回転をしています。(前進時は左回転) このヨットは後進する時、スターンが右側には曲がりやすいが、左側にはまがりにくい事になります。もし、右舷側の水流が左舷側より大きい場合は、この逆になります。一般的にプロペラは前進時に、後部から見て時計回りなら右回転のプロペラ、半時計回りなら左回転のプロペラと言います。それで、バックする時は、回転は逆になる。

通常は、右回転のプロペラが多いようです。その場合は、前進は右回転、後進の場合で、プロペラが左回転しますから、そのまま下がりますと、スターンは左舷側に流されやすい事になるので、バックして、スターンを左舷側に持っていく場合にはやりやすくなる。

そこで、舵を右舷側に切って、(ティラーなら左)前進を入れスロットルを大きく瞬間的に上げると、バウは右舷に向かい(前進せずに)、そのまま舵を動かさずに、後進に入れて、瞬間的に大きくスロットを上げるとスターンは左舷側に向かう。もし、風が無いか微風であまり影響が無い時、これを何回かやる事で、その場で、回転する事ができます。右回転のプロペラを持つヨットは、右回りが得意という事になります。但し、風の影響がある場合は、風に負けてしまう事もありますので、風の強さにもよります。自分のヨットがどっちに曲がりやすいのかは、知っておいて損は無いと思います。

もうひとつの方法としては、エンジンで海面に出て、風下に向かった状態で、ギヤを後進に入れます。風下に向かうのは、バウが風の影響を受けないようにする為です。この時、スターンが右側に向かいながらバックするか、左側に向かいながらバックするかで確かめる事ができます。右側に向かって後進していくのなら、バックギヤにおいて、プロペラは右回転しています。という事は、前進では左回転ですから、このヨットは左回転のペラと言う事ができます。

つまり、右回転のプロペラを持つヨットは、バックにおいてスターンが左に流れやすく(ペラはバックで左回転だから)、左回転のプロペラを持つヨットは、バックにおいてはスターンが右側に流れやすい。

桟橋につける為に、真っ直ぐ入ってきて、ギヤをバックに入れて停止させる時、停止時にスターンが右側に寄り付くか、左側に寄り付くか?

ちなみに、2基がけエンジンのモーターボートなんかは、左舷と右舷のプロペラ回転は反対側に回るように設定されています。1基がけでも、2枚のプロペラが重ねてあるツウィンのプロペラもありますが、当然、回転は逆に回るようになります。

風が強い時は、風に従う。このプロップウォークも、ある程度の距離を後進していきますと、舵が効いてきますから、舵操作でコントロールできますが、狭いマリーナでは、短い距離での動きになりますから、右後進と左後進と、どっちが小回りが効くか、という事になります。是非、一度、確認してみて下さい。

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