第二十八話 恐るべし、アメリカ市場

モーリスヨット社は日本では馴染みがあまりありません。と言いますのも、非常に値段が高いヨットです。セミカスタムにおける建造で、もちろん大量生産などしない。一艇づつ、手作り、半分オーダーメイドです。ですから、職人も高度な技術が必要ですし、そういう職人は給与が高い。ですから、みんな高いんです。
でも、高いだけでは市場は認めません。モーリス社は市場に受け入れられている高級ヨットの造船所であります

  最近の話によりますと、昨年秋のサブプライムロー
  ンに端を発した金融問題にも拘わらず、昨年の秋
  から暮れにかけて、にM36を3艇の他、M42、
  モーリス38と42を受注したそうです。
  大量生産の造船所ではありませんので、この受注
  規模はかなり大きいと言わざるを得ません。
  
  こういう高級艇が、世界的な、100年に一度とか言
  う形容詞でも使う経済不況においても、何ら影響を
  受けて居無いというところに驚かざるを得ません。
  高級艇、強し!

  また、またある話によりますと、アメリカの確かトップ400人だったか、その人達によって、全ての冨の50%を所有しているとか言う話も聞いた事があります。噂ですが、まあ、多分に冨の偏りがある事は確かでしょう。何という国でしょう。格差社会の典型みたいな国です。そのせいか、高級部類の商品には影響をあまり受けて居無いように見えます。ただ、100フィート以上のようなスーパーヨットとなりますと、また事情は違うようです。但し、これは他のヨットとは違い、売る事を前提に発注するという人達も居て、建造中に売却にかかる。買う側は、いろんな手間が省けるので、こういうのを買う。実際、スーパーヨットの場合、デザインから、造船所から、詳細に至る準備だけでも相当かかるし、それに納期もかかる。それがより簡単で、既に建造中となると納期も短いので、こういうのを利用する人達も少なくないようです。この分野の動きはは減少しているようです。多分、中層の上、上層の下、中あたりが元気なんでしょうか?

さて、そのモーリス社が、今年1月にM29を進水させています。モーリス社のデイセーラーシリーズに追加されたモデルです。これも例外無く、セルフタッキングジブ、カーボンマストの採用、クラシックデザインでモダンな船底形状、シングルにおけるセーリングを堪能しようというヨットです。

  左の写真がそれですが、基本的にはアレリオンにも
  似ています。一方、アレリオンの造船所はと言いま
  すと、今年はアレリオン45をデビューさせますが、
  これも、完成前に、既に売れたとの報告が来ていま
  す。また、昨年の受注もかなり多かったようです。
  確か、アレリオン28だけで、50艇は受注したよう
  な話でした。こういう造船所にとっては、これはかなりな多さです。

以前の報告もありましたが、一般艇で言いますと、小型サイズのヨットの建造は前年より減り、その代わり大型艇が延びてきている。そんな報告でした。つまりは、日本と違って、アメリカではヨットは遥に多くの、一般の方々も楽しんでいますから、経済的影響というのは、一般の方が遥に影響を受けているのではないかと想像します。それで、大型艇や高級艇が売れてる?否、こういう時期ですから目だってしまうのかもしれません。

アレリオンも、一般艇からしますと高価なのですが、完全プロダクション化しています。それで、このM29はと言いますと、アレリオンよりもさらに高価になります。一般に言う価格表は無く、これから造るハルナンバー何番はいくら、これが売れたら、次のナンバーはいくらと少しづつ上がっていきます。セミカスタム艇はみんなそういう方式です。この艇の試乗レポートが来ましたら、また詳述したいと思います。詳細はデータは新艇欄に後日記載していきます。

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