第六十五話 ライフスタイルと好み
| 旅派とセーリング派、それにもうひとつ近場のデイクルージング派というのがあります。それらは、自分のライフスタイルがどうかという事で決めるのか？と言いますと、実はそうでは無く、好みの問題かと思います。現役で仕事していて、忙しいから、旅には行けない。そういう方が、セーリング派になるかと言えば、多分そうはならないと思います。きっと、デイクルージングをされる。一方、セーリング派の人は、忙しいから、セーリング派になるわけでは無く、暇があってもセーリング派になるだろうと思います。何故なら、それが面白いからです。 結局、自分がセーリング派なのか、或いはクルージング派なのか？ライフスタイルがどうこうに関係無く、あくまで好みの問題かと思います。その中で、シングルなのか、誰か一緒に乗る人が居るのか、それによって違ってきますが、主たる乗り方には変わりは無いのでは無いでしょうか？ セーリング派がクルージングをする事もあれば、クルージング派がセーリングする事もある。それによって、何か新しい発見があって、面白さを感じて、もっとという事もある。人はなかなか半分づつ均等に楽しめるのかと言いますと、そうは行かず、どちらか一方の方が面白くなる。自分に合う乗り方はどれかは、どっちがより面白さを感じるのかになります。 家族が来ようと、来まいと、クルーが居ようと、居まいと、セーリング派はセーリングする時が最も面白く、クルージング派はクルージングをする時が最も面白い。つまりは、ライフスタイルによって、変化はあるものの、それはひとりで乗るとか、二人で乗るとかの変化はあれど、乗り方が変わる事はあまり無いのではないかと思います。 昔レースを一生懸命やってた方々が、もう年なので、レースは引退して、のんびりクルージングしたいという話を時々聞く事があります。しかし、本当に、それができるのか？疑問であります。レーサーに乗ってきた方が、のんびり純クルージング艇で、旅を楽しむ。好みの変化があったのなら別でしょうが、年だからというのは、好みが変わったわけではないので、それが本当に楽しめるのか？ 余計なお世話ですが。 まあ、先々の事は別にして、今はどうか？クルージングかセーリングか？どっちの方が面白いのか？それを意識してみてはいかがでしょう。みんながクルージング艇で遊んでいるので、自分も同じようにした。それが面白くて、というのならＯＫですが、でも、ちょっと、セーリングを本気でやってみてはいかがでしょう。本気と言っても、何か特別な事では無く、おしゃべりをやめて、セールを観察し、動きのフィーリングを感じてみる。１時間か２時間程度です。それで、何かを感じるかどうか？もし、興味が湧いてきたら、次もまた同じようにやっていただきたい。 クルージングの主役は環境にある。Ａ地点から、Ｂ地点へ移動するにあたって、風景が変わり、いろんな物が変わって、環境が変わっていきます。それが旅でしょう。その変化を楽しみます。一方、セーリングの主役は外では無く、内、ヨットとそれを動かす自分自身になる。Ａ地点からＢ地点の移動では無く、どうやって動かして、どんな感じがしたか？このふたつの乗り方は別物です。別だからこそ、好みが分かれる。でも、本当はみなさんにセーリングをしてもらいたい。クルージングの合間に。 彼女を誘ってセーリングに出る。こういう時でも、セーリングが好きな方は、セールが気になる。扱いたくなる。一人で乗ってみると、良く解る。話相手も居ないし、それでも、あまりセールが気にならないなら、クルージング派でしょう。それはそれで良いわけで、自分が何者かを知る事ができる。 自分がセーリング派か或いはクルージング派かを知る事は大事です。そして、デイセーリングを楽しむのはセーリング派になろうかと思います。 レース派は多分、セーリングするだけでは満足できず、相手との競い合い、勝つ事に喜びを感じる。 |