第十三話 本当に望むもの

何かを手に入れようとする時、特に、新しく何かをしようとする時、大抵の人が、たくさんの事を考え、いろんな状況を想定して、できるだけそれらに対応できるようにしようと考えます。それらを本当に必要とする時が来るのか来ないのか解りませんが、確かに、ある程度は必要かもしれませんが、でも対応し過ぎる事によって、それらが邪魔になるという事も少なくないように思えます。

逆に、本心で、必要な物は少ない。できるだけシンプルが良いと思えると、その後の行為においても、非常に気楽に、心から楽しめるような気がします。確かに、必要な物はあります。しかし、過ぎたるは、無駄どころか邪魔になる事もある。実際に必要と思った時に、採用すれば良いという事ができれば、それに越した事は無いと思います。

最初に何でもかんでも設置しておいた方が、安上がりにもなる。これは事実かもしれません。しかし、それが過ぎたる事になる事は多いようです。将来は兎も角、今、この瞬間にどんな乗り方をしたいか?それが基本ではないかと思います。それに必要な物だけで良いのかもしれません。
ところが、こういう時は、ああいう時は、と考えてしまうのが普通です。あっても、邪魔には決してならないのなら良いのですが。

これを見極めるのは、過去の経験が必要になるかもしれません。頭脳はあらゆる対応を良しとしますが、経験は何が必要で、何が必要では無いかを感じ取らせてくれます。かと言って、他人に聞きますと、その方のスタイルがあって、決して自分と同じとはいきません。それで、いろんな方々を見ながら、私共業者として、話をするわけですが、あまりこれは不要でしょうとか言いますと、嫌われてしまいます。難しいところです。

造船所で無ければ設置できない物、これは塾考して、必要か不必要かを考えますが、迷う物で、後でも設置可能なら、とりあえずは無い方が良いかなと思います。ヨットは新艇時が完成で、後は衰えるばかりでは無く、伴に成長して行っても良いのではないかと思います。そう考える事によって、10年後も20年後も、きれいなままで居られる。新艇はスタートに過ぎません。

また、伴に成長する事が、いつまで経っても面白さを持ち続ける秘訣でもあるような気がします。どんなにフル装備しても、やはり使って行くうちに、変わる事があります。何事も絶対は有り得ないのですから、それならば、いっその事、シンプルから始めて、伴に成長していく事を考えても良いのではないかと思います。ヨットは50年、60年と持ちます。そうなりますと、成長しなければ、面白くありません。一時期の数年を使うだけであれば、そんな事は考え無くても良いのですが。

機器類も日々成長します。ですから、後から設置した方が良い物になっている事もあります。まあ、これはキリがありませんが。でも、伴に成長する事を感じた時、自分も慣れて、腕も上がってきた時、そしてヨットも成長させていく時、実に面白さを感じるかと思います。最初の数年が面白いだけで無く、ずっと面白いようにしなければなりません。これも面白さの演出のひとつではないかと思います。

本心で望む物。自分の事ですが、なかなか解らない。それを見出しながら成長していくというのが、自分の発見であり、面白さではないか?という気がするんですが。

次へ       目次へ