第三十九話 小さなヨット

欧米では大きなヨットばかり目立ちます。ところが、小さなヨットもたくさんあって、遊んでいます。日本では、もはや20フィートあたりになりますと非常に少ない。確かに、環境のせいもあります。自宅に保管して、車でトレーラーを牽引して、着いたら、スロープで下ろす。そういう環境が、日本ではなかなかできにくい。マリーナ保管でも、20フィートというサイズにしては高価なのか?いや、まてよ、釣りボートには小さなボートもたくさんありますね。目的が釣りという明確さがあれば、それができるボートという事で、後は予算次第になるかと思います。

日本では、ヨットはクルージングというのが大半の目的です。欧米ではセーリングを遊ぶというやり方が定着しているのでしょう。この明確な目標なら、居住性というより、セーリング性能、そして予算という事になるのでしょう。

日本では、レースかクルージングのふたつ。純然たるセーリングを遊ぶという行為がまだまだ定着していないようです。このセーリングを気軽に遊ぶという感覚が定着したら、ヨットに対する考え方も変わるかもしれません。中にはキャビンは必要無いという方々も出てくるかもしれません。だからと言って、ディンギーでは沈する可能性もあるので、キールボートの小さなヨット、そういうのが欧米では盛んです。それも家族で乗る、小さな子供だってセーリングを楽しんでいる。まだまだ、そういう世界は日本にはありません。

今年から取り扱いを始めたハーバーヨットですが、造船所からは、やたらとハーバー20のニュースが送られてきます。
   

  

スーツなんか着てセーリングしている人が居ますね。ジョークでしょうか?何て言うんでしょうか、ヨットや海、セーリングに対する気軽さ、ヨットをおもちゃ感覚で扱う感じ、とでも言うんでしょうか、何とも、遊び方が上手な感じがします。日本人は勤勉ですから、まじめに遊ぶ。ちょっと、そのあたりを気晴らしにセーリングして遊ぶなら、キャビンなんか要らないと思えるのかもしれません。自転車感覚かもしれません。
考えてみたら、キャンピングカーを自転車感覚で、何て言っても無理な話です。小さいとそれだけ気軽にもなれる。

乗り物にはキャンピングカー、スポーツカー、セダン、トラック、バン、バイクに自転車、いろいろあって、それぞれに応じた乗り方がある。自転車がキャンピングカーに劣るわけではありません。そんな事は感覚的に解っています。楽しみが違うわけです。ヨットだって同じで、大きいヨットからディンギーまで、楽しみ方が違うに過ぎない。ただ、それが感覚的に納得するまでには至っていないのかもしれません。

彼らは大きなヨットが買えないから小さなヨットというわけでも無いと思います。もちろん、それもあるとは思いますが、小さなヨットは小さなヨットとして、違う遊び方ができる。日本には欧米のような大型ヨットが増える余地は、まだ無い。受け入れ先が少ない。でも、小さなヨットの方が可能性は高い。これには時期を待たなければならないかもしれません。受け入れ先の問題では無く、我々の考え方の問題として。

要は、セーリングそのものが面白いものだ、だからセーリングを遊ぼうと思う感覚、そういう感覚さえ育てば、こういう小さなヨットだって受け入れられるようになるのではないかと思います。セーリングを気軽に遊ぶ事を主とするなら、こういうヨットを自転車感覚で乗れるようになると思います。
そうなると、もっとヨットが広がる。何しろ、こういう小さなヨットは価格的にも低くなるし、より多くの方々が遊べるようにもなります。日本にセーリングが本当に定着するには、こういうヨットの広がりが必要なのかもしれません。

遊びとは一体何でしょうか?ヨットはどんな遊びを提供できるでしょうか?セールを使った遊び、キャビンを使った遊び、前者がとても面白いなら、キャビンは不要かもしれません。後者が主目的なら大きいのを望む。セール:キャビン? 何:何 でどう遊ぶ?

ヨット以外にも趣味を持つ方にとっては、大きなヨットである必要性は薄れるかもしれません。気軽にしておかないと、他の遊びに使うエネルギーも取っておかないと。ある方は大きなキャビンで、映画鑑賞。それも良いかもしれませんが、少し小さめにして、気軽なセーリングを味わって、映画は自宅でも、映画館なら最新が見れます。

小さなヨットが良いとか、大きなのが良いとか、本当はどうでも良いのですが、とにかく、気軽に、いつでもセーリングができるように。それさえキープしていれば、あとはおまけと思えるような気がします。そうなった時、どんなサイズで、どんなヨットが自分にとって、楽しく、面白く、気軽になれるか?
他人の意見を聞いて、周りを見渡せば、30フィートはほしいと思う人は多い。しかし、本当にそうなのだろうか?

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