第十七話 家族サービス 

先日、アレリオン28のオーナーのご好意により、ヨットをお借りして、中学生の娘を連れてセーリングに出かけました。実は、娘にとっては初めてセーリングです。さっと出して、セールを上げ、娘に舵を持たせて、時々指示しながら、2時間くらいのお気楽セーリング。大きなヨットも良いけど、こういう気楽さが何とも言えません。

ヨットとは一体何でしょう。あらためて考えるところがあります。いつでも、気楽にセーリングを楽しめる。これが最低限キープしたい事です。娘も初めてのヨットに嬉々としていましたし、自分で舵を持っている事に面白さを感じたようです。

小さいけれども、安定性が高く、良い走りをするヨット、そのうえで美しいヨット、そういうのが何よりではないかと感じた次第です。タッキングも簡単にできる。娘に舵を持たせて、真っすぐ走らせるところからはじめて、舵を切らせて。簡単です。

その同じヨットを、もっと繊細に調整して走らせる事も出来ます。反応も良い。簡単に操作できながら、その気になれば、もっと走らせる事ができるヨット、そういうヨットはセーリングが実に愉快であります。

たまに、家族を乗せて、そういうセーリングをする。そして通常は思いっきりセーリングを遊ぶ。そんな遊びを気楽に趣味として持つのは悪くない。もはや、大きなヨットに対するあこがれは消え失せてしまいました。世界を旅するので無い限り、気楽なセーリングこそが、最も面白いと感じています。

シングルで乗る時は、セーリングについていろいろ考えます。セールカーブを整える為に、それこそ、ちょこちょこと、いろんなロープを扱います。人によって走らせ方も違うでしょう。自分で試行錯誤しながら、どんなスタイルの操船が最も良いか?自分のスタイルはどんなか?スピードを感じながら、ティラーに伝わる感触を感じながら、いろいろ操作をするのは楽しいものです。2,3時間はあっという間に過ぎてしまいます。

オーナーと二人で乗る時も、いろいろやります。誰と乗るかでもまたスタイルが違ってきます。素人と乗るか、経験者と乗るか、或いはシングルで乗るか、みんな違う。それぞれが、みんな楽しいわけです。

セーリングはこうでなければならないという事は無く、その時々の状況に応じたセーリングを臨機応変に楽しむのが良い。やぱり、ヨットはセーリングが面白いというのが一番ではないかと思います。そうしますと、他の人の走らせ方を見て、面白く感じますし、発見もあります。

あるい人は、比較的穏やかな風の時は、トラベラーを使わないで、バングを締めて、シートで角度を決める。風がもう少し上がってきても、バングを締めて、それでマストも曲がりますのでセールがフラットになる。カニンガムでドラフト位置を前後に操作して、シートで角度を操作する。風がもっと上がってきたら、はじめてバックステーを使って、トラベラーを使い、セールをツイストさせていく。そういう走り方でした。これは小さめのヨットに対しての事です。

理屈さえ理解しておけば、その目的さえしっかり見ておけば、そのアプローチの仕方はいろいろある。そのいろんな方法を見るのも面白いものです。そういう遊びを理解しつつ、家族サービスも欠かさない。セーリングを求めているからこそ、家族サービスも楽しめる。ただ、動かせるだけなら、スタイルはひとつしかない。それではあまり面白くないので、いろいろ追求していきますと、いろんなアプローチの仕方が見えてきます。だからこそ、家族サービスだって楽しめるのではないでしょうか?何故なら、スタイルが違うからです。

自分のシングルでのスタイル、家族サービスのスタイル、レースに出るスタイル、誰かとセーリングするスタイル、いろいろ持っていた方が面白い。それには、自分がセーリングに精通していく事が不可欠ではないかと思います。求める事が、多くのバリエーションをもたらしてくれるのではないかと思います。ここに至っては、もはや大きなサイズにはこだわらない。

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