第五話 デートセーリング

デイセーラーは誰かとデートセーリングするのにピッタリでありますね。何故なら、シングルハンドを楽にこなせるからです。デートと言っても、女性とのデートとは限りませんね。奥さんはもちろん、友人、子供、孫、誰とでも良いわけですが、気軽に誘って、セーリングを一緒に楽しむ事ができます。
残念ながら、家族全員を乗せてファミリーセーリングとは行かないでしょうね。デイセーラーはスポーツカーと同じ、4人も5人も乗るとやりにくい。2人のセーリングにはピッタリです。

現代のデイセーラーはコクピットが広い、ですから、座るだけなら、6人ぐらいは余裕で座れます。でも、リビングに座っているわけじゃないので、セーリングには操作、動きが必要ですから、動けるスペースが必要になります。ちゃんとセーリングを楽しもうとしますと、やはり大人数では邪魔にもなります。それが二人なら、一人は全く何もしないで座っているだけでもセーリングはできますが、操作を一緒にやって遊ぶ事もできます。

ヨットをどう捉えるかによりますが、もし、ヨットを気楽な、それでいて深い趣味と考えるなら、デイセーラーはもってこいではないかと思います。大航海的なプランには似合わない。無計画に、気が向いた時に、ふらりと出せるセーリング。しかも、心地よいセーリング、スポーツカー的セーリングに合うかと思います。

そういう意味では、デイセーラーはカジュアルでなければなりません。ちょっとそこまで、という感覚じゃないと意味が無い。そういう位置づけかと思います。でも、多分、多くの方々にとっては、セーリングはまだまだそこまでカジュアルにはなっていないのかもしれません。セーリングに行こうと閃いて友人に電話をかける。そこで、デートセーリング。天候が悪かったら、別の事をすれば良い。

キャビンが狭いと言われますが、キャビンは寝泊りする場所です。爽やかな天候には、コクピットの方が開放的でありますし、キャビンは閉じこもる感じにもなり兼ねない。夜間の就寝時は、身を守るという意味ではキャビンが必要です。でも、ヨットの主役はコクピットではないかと思います。
雨が降っているからキャビンで過ごす?確かに、そう考える。でも、どこかに行った先なら解るが、
そうで無いなら、雨が降ってキャビンに居なければならないなら、それよりマリーナを後にして、どこか違う処に行った方がまし。キャビンは一種のシェルターみたいなものですね。

シェルターは普段は使わない。使うのは夜、寝泊りする時。出かけた先での雨しのぎ。天候が良い時は、コクピットが良い。ヨットはアウトドアです。アウトドアなのに、シェルターに閉じこもる必要は無い。できればコクピットに居たいが、濡れるから、寝る時は、寒いから、そういう時にシェルターを使います。非常時とは言わないものの、通常使う場所では無い。

そう割り切ったのがデイセーラーであります。それで、この使い方を明確に提示したわけです。そして、さらに提案したいのは、デートセーリングであります。シングルハンドセーリングができるようになってからは、誰でも誘う事ができます。そして、デイセーラー程シングルハンドを容易にするヨットは他には無い。動かすだけなら、他のヨットでもシングルで可能です。でも、セーリングを堪能できるというレベルにおいて、デイセーラー程、容易なヨットは無い。容易でありながら、セーリングの深さを堪能できる。それがシングルを面白くし、デートセーリングを可能にする。

これから来る秋のサンセットセーリングなんかは、実に爽やかで、ロマンチックでもありますね。良い季節がやってきます。さあ、デートセーリングをしましょう。奥さんに声を、娘に、息子に、孫に、友人に声をかけてみましょう。何にもたいそうな事などは無く、ちょっとドライブに行く感覚です。
見事に磨かれた美しい船体は、抜群の存在感を与えます。もはやヨットは大きさを競う時代ではありません。いかに気楽に接する事ができるのか、小さくても美しく磨かれ、存在感のあるヨット。動かない大きなヨットを尻目に、気楽に出られる自分の気分を楽しみたいものです。

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