第六十四話 セールフィーリング
| セーリングという世界はヨット以外には無い味わいです。そのフィーリングは快になる事もあれば、不快を感じさせる事もあり、その他、細かく言えば、いろんなフィーリングを味わう事になります。それもこれも全てセーリングを通じての事です。 セーリングが面白いか面白くないかと論じるのは、まだまだ入り口の話。面白いというのは、だいたい良い走りをさして言う事が多い。しかし、セーリングにはいろんな状況が生まれるわけで、それらを全部引き受けなければ、最終的に面白いかどうかは判断できない。いろいろあるけど、やっぱりセーリングは面白い。 わくわくする感情、ピンと張り詰めた感じ、恐怖感、いろいろあります。でも、良いヨットはマイナスの感情を軽減し、プラスの感情を増幅させてくれます。それが良いヨットなのだろうと思います。ヨットが自分の味方になってくれるかどうか、もし、ヨットが自分とは反対側に居たら、その時の自然にも対応しなければならないし、ヨットにも対応しなければなりません。ヨットが自分の側に居るなら、それは心強い味方であります。 ヨットは見かけも大事です。美しいヨットに乗りたいと思います。しかし、自分の味方になってくれなければ、対応は大変な苦労をするかもしれません。これは大事なフィーリングに影響を与えます。 フィーリングは何よりも最も大事、その援助をしてくれるか否かは重要であります。 フィーリングを最も大事な要素であると考えています。いかなるフィーリングもセーリングを通じて味わうフィーリングは、特別な時でもあります。その特別な、セーリングでしか味わえないフィーリングをいかに受け入れるか？ セーリングに出ますと、レースにおける絶対的スピードを求める時以外は、重要なのはフィーリングだと思います。何度も乗りますと、ただ速いか遅いかだけのフィーリングでも無いし、操作に対するレスポンスや加速感、これらも何とも言えないフィーリングをもたらしてくれます。波に突っ込んだ時のフィーリング、ブローが来た時、強風の時、飛沫を浴びる時、追い波の時、その時々にいろんなフィーリングを味わいます。 そして良いヨットは、その時々において、オーナーが味わうフィーリングをプラス方面に助けてくれます。恐怖感を軽減し、ヨットに信頼感を持つ事になる。そういうヨットでのフィーリングはまた別な世界を味合わせてくれる。 セーリングを遊ぶというのは、セーリングにおけるフィーリングを味わう事であり、ヨットはオーナーと自然の仲を取り持つ事になります。それいかんによって、フィーリングは天と地程に違うと感じる事もある。良いフィーリングを求めて、いろいろ操作を覚え、模索する。それも面白さのひとつには違いない。 弘法、筆を選ばずと言います。しかし、やはり、良いヨットは良いセールフィーリングをもたらす。弘法になるには相当の熟達が必要でしょうから。上手くはなりたい。でも、手っ取り早く良いフィーリングを味わえるなら、それも良い。 |