第二十四話 旅の魅力

何故か、旅は常に人々を魅了します。そこにちょっとした発見があたり、非日常があったり、もちろん、旅先での出会いや、温泉やご馳走や、いろんな魅力があります。昔から、旅は人々を魅了してきました。その旅をヨットで行くとなりますと、これまた趣向が異なる。

旅と言いましても、近場の旅か、遠くの旅かによって、趣は全く違ってきます。1泊して帰るのと、何日もかけて旅をするのとでは全く様相が異なります。どこに行くかも重要ですが、誰と行くかも重要ですよね。

シングルで旅をされる方もおられます。個人的には、あまりシングルで行きたいとは思いません。旅は道連れが居る方が良い。寂しいです。気の合う仲間と、旅に出る。ヨットに泊まり、ヨットで食事を作り、ヨットで過ごす。できれば、旅に出る時は、キャビンをおおいに使いたいものです。

まずは、近場、20マイルとか30マイルとか、朝出て、4,5時間で着くぐらいの所に、良い場所を探してみましょう。エンジンで走ってもOKじゃないでしょうか。1回、2回行きますと慣れますね。そしたら、今度は、もし風が真向かいでも無いなら、セーリングで行ってみるという手もあります。それはそれで、また趣も違ってこようというものです。

旅先で1泊して、キャビンで一夜を過ごす。これならデイセーラーでもできます。行った先が不安なら、最初はどこかマリーナを見つけて、そこに入ってみるのが良いと思います。それなら安心です。
夜一杯飲んで、みんなで語らう。楽しいひと時ではないでしょうか?1泊2日の短い旅です。

この距離で、2,3箇所行き先を見つける事ができれば尚良いですね。こういう所に、気軽に行けるようになるように、できるだけ頻繁に出かける。そのうち、そういう事にことさら決心など要らなくなるでしょう。天候を良く見て、計画してはいかがでしょうか?行き先がマリーナなら、もし帰りが時化るなら、その日は、ヨットをマリーナに預けて帰る事もできます。そして、次の時は、帰る旅を楽しむ。置いておけばビジター料金も確かにかかる。でも、無理してはいけません。楽しくなくちゃ。多少の出費は仕方無い。

1泊2日の旅に慣れたら、今度はちょっと、夜間航行という手があります。昼頃出て、日が暮れて着くぐらい。慣れたコースで、慣れた行き先。慣れてきますと、何も珍しくなくなりますから、変化は自分で創らなければなりません。行った先は、そうそう変化はありませんから、自分で演出します。
その為には、連れて行く相棒が変わるか、こういう夜間等の演出が、旅をまた違うものに変えてくれます。

これらは、旅のベーシックコース。エンジンで始めて、セールに行く。昼間から夜間、1泊2日の旅でも、いろんな要素を盛り込む事ができます。行きはエンジン、帰りはセーリングとか?慣れていれば夜間になる心配もしなくて良い。夜間走るのは、昼間とは又違う感じ。夜光虫が波にキラキラ光る。とっても美しい。エキゾチックな感じがします。

旅をしますと、トビウオが水面ギリギリを滑空していたり、鮫にも、くじらにも遭遇した事があります。魚の群れで水面が盛り上がっていたり、いろいろあります。そういう楽しみもありますね。

今度は逆に、デイセーリングを楽しんでおられる方に、1泊2日程度の旅を、たまにするのも悪く無いと思います。デイセーラーでも充分寝泊りできますし。

慣れたら、今度は足を伸ばす事になるでしょう。この先、10年、20年、時間はたっぷりありますから、ゆっくりと旅を楽しむ事ができます。旅が長くなればなる程、いろんな事に遭遇します。時化にも合うでしょう。でも、旅というのはそういうもんです。

外洋なんかですと、時化ると解っても、どこかに逃げ込む事はできません。時化の中で耐えなければなりません。ですから、そういう中でも、より安全に過ごせるヨットというのが活きて来る。時化て恐怖感で一杯になるのと、安心できるのとでは大きな違いです。外洋ヨットというのは、そういう事を想定しています。

まあ、外洋まで行く人はそう多くはありませんが、まずは、気楽に、1泊2日程度から、ヨットの旅に慣れて、自分の旅を演出して、楽しむ事から始めましょう。そして、できれば、その旅の中にセーリングも加えてみましょう。エンジンで走るのとどう違うか?或いは、2泊3日にして、中1日は行った先の海域でのセーリングを楽しむという方法もあります。2箇所回ると忙しくなります。中1日を現地海域でのデイセーリングとか、散策とか、やっぱりできれば2泊3日はほしいですね。計画はゆったりと。

旅のセーリングは、細かいセールトリミングなんか必要無い。だいたいでも結構。ゆったりと旅のプロセスを感じてください。短い距離でも、旅は旅。デイセーリングとは趣が違う。その違いを楽しむのが良いと思います。

デイセーリングに熱中している方には、たまには小さな旅もお奨めします。逆に、クルージングばかりしている方には、デイセーリングもお奨めします。たまに違う事しますと、楽しいし、普段のアクセントにもなり、普段やってる事もリフレッシュにもなる。旅はゆったりと、セーリングはキビキビ。
意識して使い分けると、メリハリが効いてきます。

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