第四十四話 イタリアン
イタリア人というのはスピード好きなのではないか?と思います。それも、特殊のレーサー好きの人達だけで無く、一般的な人達がそうなのではないかと思えます。 イタリア人がデザインするデイセーラーは、 こんな感じです。スポーティーなヨットです。 こんなのは日本人から見ますと、レーサー に見えます。イタリア人は、もちろんレース に使いますし、シングルハンドのデイセーリ ングにも使うし、家族でのクルージングにも 使います。 彼らはスポーツが好きなんでしょうね。その 事を特殊な人種がするものとは思ってい無い。 これで、時にクルージングして、時にピクニック して、時にレースもするわけです。 日本では、こんなのはレーサーだと決め付けて 一般の方々は敬遠されます。でも、ちょっと 考えてみますと、こういうタイプのスポーティー なヨットを楽しむ遊び方もあるという事です。 あくまで個人の好みであって、レースと決め付 ける必要性は無い。これが、たくさんのクルー と熟練した技術が必要なら話はまた別の問題 です。 オープントランサムの流麗なカーブを描くデザイン。最新のモダンなデザインです。これらをクルージングに、レースに、ピクニックに使う。それがイタリア式。こんなヨットにメインファーラーという艤装もあれば、セルフタッキングという艤装もあり、一方で、カーボンマストにしたりもあるわけです。 カーボンマストにして、ケブラーセールを展開すれば、りっぱにレースも楽しめる。或いは、メインファーラーにして、クルージングにしても良い。でも、どちらにしても、船体のセーリング性能を高めようというデザインです。 そして、もちろん、内装はしっかりと造り込む。クルージング艇でもあるわけですから。 それがイタリアンスタイル。そういう考え方もあります。 セーリングを楽しむなら、やはり性能が高い方が面白い。たとえレースしなくてもです。クラシックデザインのデイセーラーだって、セーリングを楽しむ為の道具ですから、クラシックな見かけはしていても、セーリング性能を高めています。 つまりは、セーリングを楽しむという目的なら、見かけのクラシックかモダンは好みですが、やはり速い方が良い。そして、シングルを含めるならデイセーラーが扱い易い。クラシックでもモダンでも。クルージング派だから、速くなくて良いというのが、日本で良く聞く言葉でした。しかし、沿岸クルージングの範囲なら、日常にはセーリングを楽しむ事もあるでしょうし、そういう事を考えましたら、速くなくて良いとは考えないとしたら、もっとヨットを楽しめる。速くなくて良いという方でも、後ろから来た小さなヨットに抜かれていきますと、くやしい思いを感じたりするものです。 速いヨットを遅くする事はできる。でも、遅いヨットを速くする事はできません。昔と違って、技術は進歩しています。ジブファーラー、メインファーラーはもちろん、電動ウィンチもあれば、オートパイロットもあれば、スタックパックもあれば、ジェネカーファーラーもある。さらに、セルフタッキングジブがあって、バウスラスターもある。簡単な操作で走れるように、いろんな艤装があります。 大きなヨットをシングルでとは思いませんが、二人居れば大抵の事はできる。 ならば、近場でのセーリングにおいては、もっとセーリングを遊んだ方が楽しめるのではないかと思います。 |