第四十六話 セーバーヨット社 40周年

アメリカ東海岸のニューイングランド地方は昔から造船が盛んな地域です。そのデザインはトラディショナルでクラシックな雰囲気、東海岸のそれとすぐに解る独特なデザインをしています。この地には、世界的に有名なヒンクリーやモーリス、もちろんアレリオンもこの地で建造されています。

セーバー社はニューイングランド地方の最北端、メイン州にあり、今年で40周年を迎えます。ヒンクリーやモーリスがセミカスタムによる建造で、大型サイズのヨットまで建造していますが、セーバー社はこの地にあって、ミドルサイズに限定した外洋艇をプロダクション化して、建造し続けてきました。今年、40周年を迎えるにあたり、ニューモデルとして セーバー456を発表。今年の秋にはデビューします。ちょっと解りづらい図面ですが。



前話のイタリアのコマー社も同じですが、このセーバー社もプロダクション艇の建造ではありますが、少量生産で、高い品質を目指し、オーナーのご希望に、出来る限り沿えるように、豊富なオプション群を設定しています。さらに、リストに無いものであっても、可能な限りオーナーのご要望に沿う体制を維持しています。

以前にも書きましたが、このクラスになりますと、セミカスタムとは言いませんが、プロダクション艇でも、オプション設定が豊富であり、オーナーが仕様を選択できるという体制が重要と考えています。つまり、このクラスのヨットを望まれる方々は、経験者であり、経験者であるからこそ、自分の使い方やこだわりがあるというのが前提で、それにどこまで対応できるのかという事になります。

そこを満たす究極の方法はカスタムです。次にセミカスタム、そして次はプロダクション艇ですが、多少はカスタムに対応する、敢て言えばセミセミカスタム。そして、完全プロダクション艇という事になります。セーバー社もコマー社もセミセミカスタムという事になります。これは言う程簡単な事でもありません。流れ作業の中では作れないし、職人を擁する造船所でないとできない事です。毎回、毎回同じ物を同じ場所に同じタイミングで製作、造るという行為とは全く違う様相となります。しかし、それが必要と考える造船所です。

また、同社は、パワーボートの建造でも行っています。これはヒンクリーもモーリスも同じなのですが、トラディショナルデザインによる、ヨーロッパ系デザインとは、一味違う雰囲気を出しています。

  やはりパワーボートにおいても、東海岸の
  デザインらしい味わい持ちます。
  ヒンクリー、モーリス、アルデン、トゥルーノー
  ス等々、みんな似た雰囲気を持っています。
  このデザインが東海岸の伝統的スタイルです
  でも、各社それぞれ違うんですね。

  こちらは、34フィートから52フィートまで
  写真のエキスプレスタイプから、フライブリッ
  ジタイプ、全6モデル。
  やはり、ヨーロッパ系とは違う、独特の雰囲
  気を持っています。

 

次へ       目次へ