第七十六話 究極のセーリング
| 先日ですが、アレリオンのオーナーから電話を頂きました。オーナー曰く、セーリングが実に面白い、特に今日は最高の風で、セーリングにエクスタシーさえ感じたと、冗談まじりに話をされていました。実に嬉しいですね。最高のほめ言葉です。 さて、良い感じを得る為には、その前に悪い感じを得る必要があると、前に書きました。お腹がすいたから、食事した時の満足感がある。確かに事実だと思います。しかし、敢て申せば、セーリングに集中している時、本当に集中している時は、良いとか悪いとかの判断さえもしていないのではないでしょうか？この事は非常に大切な事ではないかと思います。 もし、強風にあったら、恐怖感を感じるかもしれません。それを悪いと判断した時、想像し始めます。ちらりとでも恐怖を元にした想像をする。ひっくり返るんじゃないかとか。逆に、風が無い時、退屈感を感じます。そして、その次に退屈感を元に想像します。もっと吹いてくれないかな〜とかです。 問題はこの判断とその後の想像にあるのではないでしょうか？ もし、セーリングに集中している時、本当に集中できている時、判断をしない。特に強風では判断をしなくなる。無風では暇すぎて判断と想像が出やすいですが、そこそこ走って、集中できれば、良い悪いの判断をしません。その後の想像もありません。その場の状況を感じて、対応しているだけで、、今、このセーリングは良いわけでも、悪いわけでもありません。セーリングはセーリング、その時のフィーリングの味わいです。ただ、無心にセーリングという行為から、いろんな味わいを感じます。これこそ究極のセーリングではないかと思います。 判断と想像は、頭脳が暇になった時に行う、もう癖のような、本能のような働きではないかと思います。その場合はきっと満足感の前には不満という感覚が必要なのかもしれません。しかし、無心に集中してセーリングするならば、判断も想像も無い。そして、帰ってきてから、或いはセーリングをストップして、セールを降ろしてから、ゆっくりした時にじわじわ湧いてくる。その時に、あの時は怖かったとか思うのでは無いでしょうか？でも、これは嘘で、セーリング中には判断していないのではないでしょうか。 とするならば、良いとか悪いとかを越えて、セーリングの味わいをそのまま感じている。様々な感覚を判断無しに味わう。その中で、思い返せば、エクスタシーさえ感じたという言葉が、後から出てくるのではないでしょうか？ここに、良い感じを得る為に、悪い感じを必要としない究極のセーリングがあると思います。 セーリングというのは、どういうわけか、面白さを得たなら、簡単に集中する事ができます。今日は、セーリングしようと決めて出れば、簡単に集中できると思います。それを徐々に深めていく事によって、様々な味わいを得、判断をしない時、セーリングそのものを、そのまま味わう事ができるのではないかと思います。 それって、究極なのではないか？私も過去にそういう体験があります。セーリング後の感想は、上記オーナーと同じようなものでした。でも、セーリング最中に、そう感じたわけですが、そう考えたわけではありません。その時は無心だったと言えます。その感覚が忘れられない。また味わいたいと思います。それには、セーリングに集中しさえすれば良い。頭脳はオフ、感性のみがオンですね。 頭脳が完全にオフになれば、感性は最高に研ぎ澄まされる。それが究極のセーリングを味わう方法ではないかと思います。こういう事があるから、セーリングは面白い。集中すれば、ある特定の状況だけが面白いのでは無く、変化そのものが面白くなる。ある特定の状況だけを求めるから、その反対のものも必要になってくるのではないでしょうか？ですから、ただ集中して、やってくるものの変化をそのまま味わうつもりでセーリングすれば、きっとエクスタシー的感覚がやって来易くなると思いますね〜。これが良い悪いを越えた、究極のセーリングなのではないかと思います。 そこで、日常においても、そういう事を考えてきました。何か面白い発見があるのではないかと。でも、日常生活ではなかなか難しい。そこまで集中ができません。すぐに暇を見つけては、頭が動き出して考えます。想像を楽しむ事もあれば、想像が何らかの嫌な気分を創り出す事もあります。 結局、想像はあるものを別の何かにすりかえてしまうのかもしれません。常に何かを考え、想像し、ありもしない事を、起こってもない事を創り出す。それは癖であり、しかも、考え方のパターンもあります。人は自分の想像のパターンから抜け出す事さえできない。 気がつきますと、このＴＡＬＫの内容の考え方のパターンも同じであります。パターンは主張が変わっても、考える材料が変わり、結論が違ってくるだけで、材料の処理の仕方、考え方のパターンとして同じなのではないか？だとすると、たいした事は思いつかないわけです。それを打ち破るのは、考え無い事から始まるのではないか？考え無いで、感じただけで止める事ができれば、ひょっとすると、そこから全く別の考えが生まれるかもしれません。実に面白い。 それは兎も角、セーリングにエクスタシーを感じたいと思いませんか？どうぞ、感じてください。それには、デイセーリング、それもシングルが最も適していると思います。 |