第八話 デイセーラーの進化 

アレリオンが登場した事で、これは従来に無い、いわばスポーツカーの誕生だと思いました。しかし、そのスポーツカーも時が経てば、進化していきます。

デイセーラーのコンセプトは、シングルで、イージーハンドリングでありながら、高い帆走性能を実現するというものです。その為に、艤装の配置や、腰の強さがあります。あくまでレース用ではない、セーリングを遊ぶヨットとしての存在があります。

アレリオンが出てきて約20年。その間に状況は変化してきました。アレリオン28にしても、20年前のアレリオンとは違ってきています。そして、もっと進化させたのが、アレリオン33や38に見られる、カーボンマストの採用とバックステー無しによって、大きなローチを持つメインセールです。

この頃は、シングルで高い帆走性能を、簡単に実現するという方向を高めた結果です。ジェネカー等の仕様はあまり考えず、ジブブームを使う事によって、簡単にシングルでも、ダウンウィンドを楽しめるようになりました。そこを強調してきました。

これは今でも変わりありません。しかし、さらにその先はと言いますと、例えば、シングルとか、ご夫婦でセーリングされる場合は、メインとジブで良い。しかし、たまにでもクルーが来ますと、もっと積極的な走りを楽しむ方向性もあるわけで、その場合の設定として、ジェネカーの仕様を取り入れています。この場合のジェネカーは、クルージング用というより、もっとハイパフォーマンスを狙っています。

つまり、シングル時、クルーが居る時、オーナーによって、使い方を考えれば、標準でも良いし、ジェネカーを使うセーリングでも考えられる。

しかし、あくまでレーサーとしてでは無く、セーリングをいかに楽しむかという観点において、イージーハンドリングを維持したまま、いかに帆走性能を高めていくか?そういう選択肢を与えていきます。

クルーが居ない状況においても、従来のヨットで充分にシングル帆走を楽しむ事ができます。ジブブームがそれを容易にします。しかし、ジェネカーの方が速いに決まっていますが、クルーの問題がある。よって、クルーが来る可能性をも考えるなら、ジェネカーを装備しておくのも一案、そういう選択肢を作ったという事です。それなら、どうにでも対応が可能です。

ハイパフォーマンスの為に、操作が難しくなるのなら、それは御免こうむりたいですが、簡単操作でハイパフォーマンスなら、それは歓迎したい。そういう方向性がデイセーラーに見えます。

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