第七十二話 先進国

小国ながら、日本は先進国です。かなりすごい経済大国です。欧米から見たら、極東の小さな島国に過ぎないのに、この間まで米国に次ぐ巨大な経済力を持っていたのですから、すごいもんです。おおいに自信を持って良いかと思います。ところが、日本人は謙虚、というより自信なさげ。
欧米から見たらそう見えたかもしれません。中国に抜かれたからと言って騒ぐ事は無い。国の大きさから言って全然違うんですから。もっと自信を持って良いんだと思います。

海外から見たら、経済大国であり、海岸線も長いし、そうなるとマリンレジャーが欧米並みに盛んになってもおかしくありません。どこの国はヨット保有艇数が何艇とか、何人に1艇とか、いろいろ話を聞きますが、日本は先進国でありながら、非常に率は低いというのが現状です。それをどうこう言っても始まりません。単なる事実であります。

これは多分に日本のスタイルが関係していると思います。仕事に対する考え方、遊びに対する考え方の違いが大きいと思います。また、日本人の人生観もあると思います。この間までは遊びは罪悪的なイメージがありました。それに対して仕事は美徳でもありました。仕事で頑張っている人は素晴らしい。でも、遊びで頑張っている人を褒める事はありません。

ところが、徐々に、そういう意識も変化してきているのではないか? 三世代家族でひとつの家に住むというのが当たり前だった時代から、核家族化が進み、徐々に、資産を子供に残すという事が、昔に比べれば希薄になってきているような気がします。 稼業を息子が継ぐという事が当然だった時代から、今では子供は好きな事して、親の稼業を継がない事も珍しくありません。

時代は、良し悪しは別にしても、変わりつつあります。つい先日お会いした方も、死んで財産残しても仕方無いので、大いに使って、遊ばなきゃ、と新艇のヨットを購入された方がおられます。また、ある方は、自分で起こした会社を息子に継がせずに、売却して、ヨットであっちこっちクルージングして楽しんでおられた方もおられます。その息子も稼業を継ぐ意識は無いのです。

日本人の意識も少しづつ変化しているのでしょう。日本は長い不景気にあえぎ、少し良くなってきたかなと思ったら、今回の東北の災害、今も、原子力発電所の問題は大きな問題として、世界を騒がせています。しかし、きっと、日本は立ち直ると思います。そして、新しい日本のスタイルを創るのではないか、技術もあるし、頭脳もある、そして今回、強い団結力もある事が証明されました。
何とか、この困難を克服して、次の段階に入る。今後のネネルギーをどうするか? 経済をどうするか? 資本主義に捉われない、資本主義を超えた何か?

資本主義は、利益追求が基本です。でも、人間同士助け合う事の必要性も学びました。必ずしも、利益追求しかしないわけじゃない。資本主義を超えた何らかのスタイルが生み出されるかもしれません。しばらくはかかるでしょうが。おまけに、高齢化社会、人口も減少しています。これらは決して、悪い事ばかりでは無く、全てには良い面と悪い面を持ち合わせるわけですから、単なる事実として、超える可能性を模索しながらも、日本再生の道を行くと信じます。

そうした時、日本も今後のスタイルとして何かが変わります。仕事に対する考え方、遊びに対する考え方、経済、福祉、エネルギー、ライフスタイル、その時、ヨットがどういう位置になるのか?

ヨットてぇのは、エコだし、扱い方によっては、自然の中で肉体的にも精神的にも健全な遊びです。
風俗やキャバクラとは違います。一部のお金持ちだけの遊びでは無く、誰もがセーリングを遊べるようになる可能性はある。それは、ほんの少し意識が変わるだけで可能ではないかと思います。今は、ある意識が蔓延しています。でも、いろんな困難があり、それを乗り越えるにあたって、意識は変わりますから、その新しい意識次第ではないかと思います。

日本が、本当の意味での先進国になり、豊かで、協力的であり、高い意識を持つ最先端の国になればと思います。経済的に何位というより、心物両面での豊かさにおいて。 資本主義を超えた、新しい価値観の創造が望まれます。

ヨットに乗れば心が豊かになるかと言えば、そうでは無いと思います。心が豊かでなければ、ヨットを楽しめ無い。心が豊かであればこそ、ゲームとして楽しむ事ができる。もちろん、お金も必要ではありますが。 一日も早く、原発の問題を解決して、復興の道を進み、新しい価値観の創造を期待しています。がんばれニッポン。

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