第二話 ヨットを造る

造ると言いましても、カスタムではありませんが、プロダクション艇であっても、結構いろいろあるものです。だから、造船所とのコミュニケー^ションが非常に大事になります。オーダーを入れて、出来上がるまでただ待つなんて事は有り得ません。

量産艇の場合は知りませんが、少量生産では、オーダーを入れてから、建造開始まで待たされます。順番待ちなんですね。ですから、オーダーは順番を決める事になります。他にオーダーが無いならすぐに開始できますが、通常はそういう事はありません。その間に、仕様を充分に打ち合わせしておきます。

さらに、建造開始になっても、途中、オーナー希望で仕様変更も有りえます。造船所は、可能な限りはそういう対応をしてくれます。量産艇はそういうわけには行かないかもしれませんが、これは少量である事の利点でもあります。

建造が終わって、出荷するまで、コミュニケーションが絶えません。という事は、先方の担当者が、そういう対応をしてくれないと困ります。それが良いかどうかも、大事な事と考えています。ヨットは良いヨットでなければなりませんが、造船所も良く無ければなりません。これは人次第。でも、良い造船所からは良いヨットが生まれる。

ですから、日本で売りたいと思うヨットがあっても、最初のコミュニケーションがどうなのか?返事はすぐに来るのか、どんな受け応えをするのかを重視しています。デザインが良くて、職人の質が良くて、そしてマネージメントも良い。そういう要素が、良いヨットを造ると思っています。

しかし、いかんせん、日本のマーケットは小さいので、たくさんは売れません。なので、小規模生産の造船所ぐらいが丁度いいのかもしれません。マーケットのせいばかりでは無いとも言えますが。
当社にとっても丁度いい。

年間建造艇数が、50〜70艇程度。せいぜい100艇以下ぐらいと思っています。そうなると、同時進行で建造する艇数は少なく、担当者も進行具合を把握できてます。まあ、それでも、結構大変だろうとは思いますが。

残念ながら、量産艇の造船所との取引はありませんので、実際、どのように進んでいるのかは解りませんが、きっとシステム化されて、オーダーを入れたら、流れるようにできてくるのかもしれません。そういうのも悪くないと思いますが、こちらはかなり人間的かもしれません。仕事以外に、家族の話もするし、今度の休みがどうとか、風邪ひいて休んでしまいましたとかも言ってきます。ビジネスとはいえ、人間同士なので、そういうのも良いもんだと思っています。

今度来るアレリオン33Sの造船所も、そういう造船所です。今日は大雪だと言って、写真を送ってきたりします。こちらも、ヨットが入った時、艤装具合なんかも写真を撮って送ります。ヨットを造るというのは、物だけじゃないんだなと思います。

今年から始めるスウェーデンのアルコナ社は、日も浅いので、まだ良くは解りませんが、でも、今の所の感触は良いです。日本の事情を言えば、向こうもあちらの事情を言ってきます。ちょっとまだプライベート部分には及びませんが。もちろん、全てがスムースとは行きませんが、できるだけコミュニケーションを良くしてと思っています。ヨットを造るうえにおいても重要かと思っています。

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