第三話 ヨットを運ぶ

ヨットができたら、造船所から輸出港まで運ばなければなりません。おっとその前に、輸送船台が必要ですし、航海中を守る為にカバーをかけます。今、アレリオン33Sが来ています。

  丁度、こんな具合。カバーは熱をかけて
  収縮します。それでシュリンク(縮む)ラップ
  と言います。これで、船体全体に、パリッと
  カバーがかけられます。
  
  そして、ヨットが乗っているのが輸送用の
  船台です。本船の予約をして、港に輸送し
  て、輸出通関をかけて、本船に乗せ、そし
  て日本へ。
  おっと、海上保険を忘れてはなりません。






  そして、日本で荷揚げ、到着です。
  これから、輸入通関をしなければなりません。
  この通関は、税関のさじ加減ひとつです。
  書類だけでOKの時もあれば、X線検査
  さらに、現物検査までする事があります。
  これは拒否はできません。ヨットは検査官
  の興味もあり、検査官が個人的に見てみた
  いという事もあるかもしれません?、
 






  税関検査を受けました。
  何も出無いと、通関クリアーです。

  何も出ないと言いましても、変な物がないか
  という事では無く、例えば、消化器とか、
  プロパンとか、そのままでは輸入許可が
  出ません。安全性を証明しなければ許可
  になりません。そして、その証明が非常に
  難しいのです。通常はもしあれば処分に
  します。しかも処分手続き大変です。
  ですから、海外のプロパンのタンクなんか
  撤去して造船所を出荷します。
  それから、海外の安全備品の火薬なんかも
  ご法度です。

  通関をクリアーして、トレーラーに積み込
  み、受け取ります。そして、マリーナへ。













   そして、到着。これから艤装の作業や、
   小型船舶の検査です。
   運ぶと言っても、ここまで、かなりの手が
   かかります。それが仕事でもあります。











海上輸送には、コンテナ船を使ったりしますが、そういう船は取扱いが通常はコンテナですから、コンテナは積んだり、降ろしたりの作業がしやすくできてます。港にあるでかいガントリークレーンというもので、簡単に積み下ろしができますが、そこに、こんなヨットがありますと、作業の邪魔だし、しかも、他のコンテナを積み重ねたりもできません。それで、船会社は、貨物が多い時は、どうも嫌がる傾向にあります。

コンテナ船の貨物を全て取り仕切るオペレーターが居て、その人は、どこでどんな貨物を積むか、降ろすかを全て把握したうえで、ヨットを積むかどうか、積むとしても、どこに積んだら良いかを決めます。ですから、時間がかかる場合もあり、待ったうえで、OKが出ない事もある。今回、特に、日本向けは、震災の後だけに、混乱していました。

それで、別な船、こういうコンテナに入らないような貨物を専門に運ぶ船があります。但し、あっちこっち回ってきますので、時間がかかってしまいます。実は、本船手配も結構大変なのであります。
でも、それが仕事です。

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