第六十七話 遊び心

遊び心は心の余裕と言いますか、通常の効率とは別次元にあります。効率、損得、容易、便利、
等々の言葉がありますが、遊び心は、そんな事からちょいとはずれて、遊んでみようかという余裕です。ですから、それは豊かさの部類かと思います。

効率だけが幸福なら、昔に比べたら、みんな、効率は良くなった。だから、みんな幸福か? と申しますと、そうとは言い切れない。効率は便利であり、でも、遊びは別なところにあり、その選択を
してみようかと思う所に遊び心があり、それがひょっとしたら、効率を越えた魅力を与えてくれるかもしれません。

それは何を選択したら良いのか? 効率では無いわけですから、頭では考え付かない。心がささやく。そんな心のささやきを逃さない。聞こえても、頭で考えれば駄目とする。だから、そのささやきを受け入れる余裕がほしい。そんな余裕がある事こそが、既に幸福の中に居るのかもしれません。

ちょっと遊んでみよう。それこそが、面白さ、楽しさを生み出す源泉かもしれません。この遊んでみようは、効率から外れて、自分の感性に従ってみようという事かな?

だから、このヨットで、何人寝れる、何が付いてる、どれだけ簡単に操作できるか、等々は重要な要素でありますが、同時に、心が何とささやいているのかも注意した方が良いかもしれません。

何とも言えない魅力を感じながら、人は、効率を考えます。だから、遊べないのかもしれません。
遊びは遊び心でやるのが当たり前ですが、実際は効率を考えながら遊んでいる。遊んでいるつもりなのかもしれません。

ヨットは遊びですから、どれだけ遊び心が湧いてくるかが、どれだけ楽しめるかになるのではないでしょうか?

ニス塗装したらきれいだろうなと思います。でも、いつも誰かが、メインテナンスが大変だからやめた方が良いとか言います。

ノルディックフォークのメインテナンスを行っていますが、このヨットには木製のマストがついてます。最初は、ペイントしようかな、とも考えました。でも、実際に古いニスをサンディングしているうちに、やっぱり、この魅力はニスで映えるのではないか、と思い直し、ニス塗装をする事にしました。

我々は、いつの間にか、ジブファーラーが当たり前になり、コクピットから全部操作できて、さらに、メインファーラーもでてきています。それがいつか当たり前になるかもしれません。それはそれでも良いと思います。しかし、どこかで遊び心をキープしないと、遊びが効率的行動に飲み込まれて、いつの間にか、業務的になり、魅力を感じられないようになるかもしれません。

ですから、いつも、心は何とささやいているのか? と注意をしておく?そのアイデアを実行するかしないか?そして、いつも必要なのは、そのアイデアを実行したとしても、いつでも軌道修正をする余裕も必要かもしれません。臨機応変の遊び心。

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