第七話 レストアの時代

御存知の通り、中古市場は20年以上のヨットがざらにあります。そして、船体さえしっかり作られているヨットは、これから先も長く乗れる。そういう事が解ってきました。そこで、これから必要になってくるのがレストアではないかと思います。

20年物のヨットに設置された20年物の、セール、冷蔵庫、計器類、それらがちゃんと作動していたり、セールが破れずに使えるとしても、それらにどれだけの価値があるでしょうか?既に20年経った冷蔵庫は、この先どれだけ動くでしょうか?家庭で使う家電製品だって、20年も使いません。まして、条件の悪いヨットの中です。

これらの機器類、セールを新しくして、この先長く使うというのは、理屈に合っているかと思います。
幸いエンジンはもっと長く使えます。車のエンジンだって、タクシーなんかは、すごい使われていますし、漁船なんかも稼働時間は長い。それに比べたら、ヨットのエンジンの稼働時間は非常に短いと言えます。

セールを変えて、シート類を変えて、機器類を変えて、それらが新しくなったら、このヨットは蘇ります。幸い、FRPはどうにでも修理して塗装すればピカピカになります。唯一変えられないものは、そのヨットのオリジナルデザインです。

でも、確かに、20年前のヨットと現代のヨットではデザインは異なります。しかし、結構オーソドックスで、見劣りしないヨットも多いです。場合によっては、クルージングなら、むしろ、昔のヨットの方が良いのではないかというヨットもあります。

設置された機器類が全て作動している20年物のヨットと、機器類を新品に換えた20年物のヨットとどっちが良いのか?もちろん、価格の差も見なければなりませんが、その動く20年物のヨットも、いずれは交換しなければなりません。

そういう意味で、20年物のヨットというのは、レストアを意識した方が良いのではないかと思う次第です。これからは、そういう時代ではないかと思う次第です。

10年前後でしたら、GPSはついてるか? 風向風速計? デプス?とか見ていましたが、20年になると、もうそんな20年物の機器類は頼れないと思っていいのではないでしょうか?

欧米のヨットは平均的に、きれいです。何年にセールを変えたとか、何年にどうしたとか、そういう記録がちゃんとつけられています。それはその分、価値が高くなるからだと思います。そうやって、メインテナンスされてきた20年物は、価格が高くなります。もちろん、買う側にとっても、買ってから換える必要が無い。日本も、そういう時代の入り口に差し掛かってきたかなと思います。

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