第九十六話 時間割

一般的に使う方法はクルージングですが、純クルージング艇も良いですが、それ以外も、もう少し考えてみます。

沿岸クルージングを楽しむ。それが一般的な考え方だろうと思います。しかし、実際、クルージングにしょっちゅう出かけているヨットはあまりありません。という事は時間的にみますとと、そのヨットの多くの時間はホームポートに居ます。

そのホームポートに居る圧倒的多くの時間に、どう使うか? そこが問題です。それで、デイセーリングを楽しみ、時にレースを遊ぶという風に考えるとしたら、純クルージング艇よりも、ハイパフォーマンスのクルージング艇の方が使い勝手はあると思います。そのハイパフォーマンスでも、十分なキャビンがありますし、ただ、純クルージング艇とは仕様が異なりますので、それをどう考えるかです。

例えば、大きなコクピットテーブルは無い。メインシートはコクピットにある。ドジャーは設置できるがビミニトップはコクピットにメインシートがあるために設置できない。そういう事はありますが、セーリングを楽しむ上では、こっちの方が面白いかと思います。

クルージング艇がそのクルージング色を強めてきた今日、クルージング艇でありながら、ハイパフォーマンスを標榜するヨットの存在も意味を得てきていると思います。外洋へ行くなら、ロングになり、一旦出たら、当分は帰って来ない。しかし、沿岸クルージングなら、事情は違います。

沿岸クルージング艇をフル装備にして、楽に旅を楽しむという方法も確かにありますが、旅以外の時間も考えますと、それをどう過ごすか?そこにセーリングで遊びましょうという提案、デイセーリングです。そのセーリングを遊ぶなら、ハイパフォーマンスの方が面白いのでは、という提案です。

もちろん、シングルとは行かないでしょうが、十分にスタビリティーが高ければ、クルーがひとり居れば十分遊べますし、クルーが二人ならジェネカーも楽に遊べる。ここに、クルージング以外の遊びを創る事ができます。

実際、多くのクルージング艇でも、普段はデイセーリングをされています。家族や仲間や、仕事先の同僚や取引先やら、多くの場合でデイセーリングを楽しむ。ここに純クルージング艇でも良いのでしょうが、これまた時間割を考えますと、誰かをゲストに呼ぶ時間よりも、通常のレギュラーメンバーで乗る時間の方が圧倒的に多い。

ゲストが乗る時、純クルージング艇だろうが、ハイパフォーマンスだろうが、解りません。でも、通常メンバーで乗る時、やはりデイセーリングをする時、ハイパフォーマンスは意味を持つようになると思う次第です。

いろんな使い方がある中で、その核になるものを何にするか?そこは重要かと思います。その核には、冒険があったり、難しさがあったり、工夫を要し、頭も使い、そういうレベルアップしていく何かがあった方が良いと思います。それを旅に求めるか、セーリングに求めるかは違います。
その核をもったうえで、他のバリエーションを楽しむというのが全体的にヨットを楽しむには、最も効果的ではないかと思います。

ピクニックだけでは飽きる。別荘的だけでは飽きる。近場の楽なクルージングばかりでは飽きる。
飲み会だけでは飽きる。しかし、たまになら飽きません。という事は、それ以外の圧倒的時間に何をするか? そこに核をもってきますと、その核がある為に、ピクニックは楽しく、別荘的も楽しく、近場の楽なクルージングも楽しく、飲み会だけでも楽しくなるのではないかと思うのですが?

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