第二十話 スポーツする?泊まる?
ヨットをどう扱うかは、大別するとスポーツをするか、レジャー的に遊ぶかという事になろうかと思います。これが基本的な考え方ではないでしょうか? スポーツをするに、どんなヨットでもスポーツできます。クルージングするに、どんなヨットでもできます。違うのはその質の問題です。キャンピングカーでスポーツする事もできるかもしれないが、スポーツカーの方が、スポーツするには面白い。スポーツカーで旅も可能でしょうが、キャンピングカーの方が快適です。 ヨットが車のように、日常の足として使えない限り、ヨットはこのスポーツかレジャーかという方法になるかと思います。すると、簡単な話、どっちを選ぶのか?でも、その前にもうちょっと考えてみます。 クルージングの基本は旅です。マリーナを一歩出れば、それは旅であるというのもありますが、現実的にはそうは感じません。日帰りの旅もありますが、ヨットではそう遠くへはいけませんので、かなり限定され、旅という要素は少なくなります。ですから、旅をするなら、満喫するには、やはり時間とうものが重要です。長い距離を走って、行った先を探索する。いろんな場所に行く。やはり、旅というからには、一泊以上はしたいものです。 そういう時間的余裕が無い方々、滅多に旅にいけない方々は、日常的にはどうするか? ヨットをいかに別荘的に扱う事ができるかではないかと思います。ここにかかっているとも思えます。家族で、ヨットに来て、料理したり、釣りしたり、泊まったり。日帰りのクルージングを楽しんで、そして、夜はそんな遊びをする事ができれば、クルージング艇はかなり活躍できる。週末はヨットに泊まるです。これができない場合、ヨットは滅多に使えないものになります。 ですから、クルージングの活用ポイントは、ヨットに泊まる事ではないかと思います。欧米人はそれが当たり前のようにやっています。ですから、広いキャビンが有効なのです。この泊まるが無いと、クルージング艇は活躍の場を失ってしまう。クルージング艇を楽しむ最大の効果は、この泊まるにあるかと思います。それも、ホームポートのマリーナに置いたまま泊まるです。 旅に出たら、その行為が旅そのものですから、旅を満喫できますから、たとえば、旅先でならヨットに泊まらなくても、ホテルでも旅は満喫できます。その方がもっと快適かもしれません。だから、旅先では必ずしも、ヨットに泊まる事が絶対条件でも無いと思います。それで、クルージング艇を楽しむ方法は、自分のマリーナで、自分のヨットにどれだけ泊まって、楽しめるかにかかっているのではないかと思います。 一方、スポーツ中心に考えますと、目的はセーリングです。お気楽レースに参加する事もあるでしょう。レジャーとは違い、スポーツですから、セーリング自体を楽しむのが目的になりますから、操作を楽しみ、走りを楽しみ、風と波との調和を試み、どれだけ肉薄できるかを楽しみ、自分の上達を楽しみます。これには、泊まるという条件は無くても良い。何故なら、日帰りでも、その目的を達する事ができるからです。もちろん、泊まっても良いですが、絶対条件では無い。おまけみたいなものです。 日帰りセーリングでは、場所的には馴染みの風景ですから、旅のエキゾチック感はありません。しかし、逆に海域に慣れているからこそ、セーリングをスポーツするには良い。スポーツの面白さは、自分が主体的に、ヨットをどうコントロールできて、どういう走りを見せるか、そのヨットの性能を引き出す事ができるかにかかっています。旅とは全然質が違います。動けば良いから、いかに動かすかがポイントです。そこを楽しむのがセーリングです。ただ、真っ直ぐ走っても、クルージングとセーリングでは意識が違いますから、感じ方が異なります。 セーリングに意識を置きますと、セーリングの動作の変化を楽しむ事になります。ですから、短時間でも目的は達成できます。セーリングにおける自分の腕を楽しむ事とも言えます。 ヨットを日常的に楽しむ方法、できるだけ頻繁に楽しむ方法は、レジャー的には泊まる事、スポーツ的にはデイセーリングする事。これが基本ではないかなと思います。 |