第六十八話 ファーリング考

ジェネカーファーリングには二種類あると以前書きました。その違いも書きました。しかし、実際使う時にはどちらが良いのか?そこの処を考えてみます。実際試すのが一番良いのですが、なかなか、あらゆる状況で試すという、そのチャンスがありませんので、あくまで考えただけですが?

艤装品ページにタイプAとタイプBを書きました。どちらのタイプにしろ、ジブファーラー程の確実性はありません。これは、巻けるのですが、ジブファーラー程、きれいには巻けない事もあるという事です。それは、セールと風に寄ります。

ジブは厚みのある硬いセールです。ですから、ファーリングドラムさえ回転させれば、確実にきれいに巻く事ができます。でも、ジェネカーのセールは実に軽いが柔らかい。ですから、どんな方向にでも折れ曲がったりします。

ファーリングにはふたつの要素があって、ひとつは風がある程度安定してあるなら、セールを風に流して、巻くことができますが、風が不安定な時、風向が変わったり、風速が落ちたり、時に風が止まったりしたら、セールと結んだシートの重みで、セールは垂れてきます。さらに風が不安定で方向が変わると、フォアステーに近づいてきたりします。つまり、セールが垂れ下がってきた時に、ファーリングドラムを巻き続けますと、ラフ側から順番に巻いていけば良いのですが、セールが垂れたせいで、真ん中とか途中が先に巻かれる事があります。すると、袋ができてしまう。風向が変わって、前側に回りますと、フォアステーにからむ事もある。

従って、巻き取る時、その風の状態によるセールに注意が必要です。セールが垂れてきたら、シートを引いて、フォアステーから離す事が必要になります。それを、垂れた状態を無視して、ドラムを回し続けない事です。セールが垂れたら、ドラムをストップして、シートを引いてからなまいようにする。

もうひとつは、ファーリングの方式です。タイプAの場合、巻く力は、ドラムを回転させますと、セールのラフに伝わるわけですが、その回転力が、セールピークに最初に伝わるまで時間がかかる。
セールピークが回り始める時、ドラム近くでは、数回転しているという場合があります。このまま巻き続けますと、下はきつく、上部はゆったりと巻かれる。風が弱い時はそれでも良いのでしょうが、その後風が上がると、ゆったり巻いた上部は、風ではためく可能性があります。その場合は、下ろす事も考えなければなりません。ですから、ドラム回転の力ができるだけ早く、上部に伝わる事が望まれます。それと、ある程度セールがたなびくような風がある事です。それ以外は、シート引いたりして、ちょっと要領が必要になります。

タイプBの場合は、ドラム回転は、セールピーク側に先に伝わります。ですから、条件は良い。ただ、その他の風の強弱、方向等はタイプAと同じになります。

では、タイプBの方が良いのか? という事になりますが、ここでは、別な性格部分を考えます。
タイプAはラフが固定されます。ですから、安定します。一方タイプBはラフは固定されず、つながれるのは、タックとピークのみです。ですから、通常のジェネカーを巻く事ができますが、シングルハンドを考えますと、安定するタイプAの方が安心して使えるかと思います。さらに、ラフが固定する事によって、微風の上りにも使える。通常のジェネカー以上に登れます。という事はジェノア的な要素も持ち合わせる。その事によって、微風時に、ジェノアで対応できない時に、上りから下りまで使えるという事になります。これがシングルハンドの方には有難いのではないか?

ただ、ドラム回転の力が、セールピークに達するのに時間がかかるので、このラフが長い大きなヨットの大きなセールになりますと、どうかな?という疑問があります。セールピークに伝わるのがもっと時間がかかるのではないか? これは実験していないので、解りませんが、そんな気がします。という事で、シングルで乗る比較的小型サイズには、タイプAをお薦めし、大きなセールを持つヨットは、クルーも居るでしょうから、それならタイプBかなと思います。

当社で取り扱っておりますファーラーも2種類あり、タイプAはセール面積50uまでと70uまでの二種類。タイプBは100u以内が最も小さなタイプです。本当は、タイプAでも、もっと大きなサイズのがあるのはあるんです。でも、今のところ、上記の理由でちょっと注意しています。これは実際に試していないから解りませんという事で、メーカーはそういう物を出しているのいるので、良いかもしれませんが。

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