第六十九話 スナッファー
| ノースセールではスナッファーと呼んでいますが、メーカーによって名前は様々ですが、いずれにしろ、ジェネカーを長い袋に入れて、袋のまま上げて、それから袋を、下からエンドレスのロープを引く事によって、袋を上側に上げて、セールを展開するというやり方です。 実際、使ってみますと、かなり便利であります。袋を上げるのもスムースですし、下げる時はメインセールの陰にして、セールから風を抜いてやりますと、簡単に下ろす事ができます。実にグッドアイデアです。おまけに、ファーラーのようにバウポールは必要無いし、タックラインでセールの上下操作もできます。 ファーラーとの違いは、セーリングの前にあげておくという事はできませんし、セールを閉じる時は、その都度セールを下ろす必要があります。ですから、シングルの方では、ちょっとしんどいかもしれません。それに、袋を上げたら、セールが風をうけますから、同時にシートを引いたりする必要もあります。袋を上げる為にはバウに行き、同時にシートを引く事は出来ませんから。 でも、もうひとり居てくれたら、何とかなりますね。ですから、常にふたり以上でセーリングするのなら、スナッファー仕様のジェネカーは実に有効かと思います。 アレリオンやハーバーヨットにはジブブームがついてますので、ジェネカー無しで効果的なダウンウィンドセーリングができます。シングルには特に有難い装備だと思います。しかしながら、それでも、ジェネカーを使うセーリングに比べますと、セールエリアから考えても、ジェネカーの方がより面白い。強風ではジブとメインで良いのですが、微風になりますと、やっぱりセールエリアが物を言う。 それで、最近では、シングル時はジブとメインで走り、誰かと一緒ならジェネカーを使おうかという気運が出てきました。そのジェネカーをファーリングにするか、スナッファーにするかは、まだ分かれるところではありますが。それはバウポール次第という事になります。 バウポールを簡単に作れるのであれば、今後、多分、ファーリング方式が増えるのではないかと思います。何しろ、マリーナで上げて出航できるし、下ろすのもマリーナに帰ってきてからでいけますから。 スナッファー方式のジェネカーが出来て、結構な時間が過ぎていますが、でも、そんなにジェネカーでセーリングしているヨットを多くは見ません。という事は、シングルなのか、或いは、まだ定着はしていないと言えるかもしれません。もっと簡単な装置を望まれるのかもしれません。 それで出たのがファーリングですが、これとて、バウポールを要求するという面倒もあります。ゆくゆくはファーリング方式が一般化していくのではないかと思いますが、それには、バウポールの問題を解決しなければなりませんので、まだまだ時間はかかるかな？ いずれの方式にしろ、ジェネカーセーリングが一般化する為に、ダウンウィンドだけでは無く、微風下でのセーリングをどうするかという事を考える必要があります。ダウンウィンドを含めた微軽風でのセーリングを、何とか解決したい。しかし、人間は怠惰な生き物ですから、簡単でなければいけません。今は、簡単にはなってきましたが、それでもメインやジブ程ではありませんので、なかなか進まない？ 怠惰こそが最大の敵かもしれませんね。慣れてしまうと良いのでしょうが？ 昔に比べたら、相当便利なはずなのですが、人間の怠惰は終わりがありませんから。 それが発展をもたらしますが、それに慣れるともっととなります。 もっとと思って進化して、それに慣れて、またもっと。いつも、このもっとという処が最も面白い部分なのかもしれません。 |