第八十二話 ダブルハンド

デイセーラーはシングルハンドを可能にしますが、他のヨットはそういうわけには行かないと思います。もちろん、オートパイロットを使えば何とかなる。クルージグならそれでも良い。でも、セーリングを遊ぶという観点で行けば、オートパイロットは一時的な使用に留めたいものです。

それで、ダブルハンドでセーリングをする。ひとりが舵を持って、もうひとりがシート類や他の操作をします。できれば、舵を持った方が、バックステーの調整とメインシートの調整ができれば良い。もうひとりはジブシート、バング、それにジェネカー。

レースなら、全てを素早くやる必要があるのでしょうが、デイセーリングなら、順番にやっても良いので、ダブルハンドでも十分にセーリングを楽しむ事ができる。もちろん、クルーの体重移動は考えませんから、復元性の高いヨットである方が良いとは思います。

シングルとの違いは、ふたりのコンビネーションを楽しめる事ですね。舵をもった人は、勝手に舵を切るのでは無く、もうひとりの操作状況を見ながら舵を切る。逆に、シート操作している人も、勝手にやるのでは無く、舵が切れて、ヨットの動きを見ながら操作をする。そういうコンビネーションが上手く働きますと、面白さを感じます。これはシングルでは味わえない。

コンビネーションを面白く味わうには、練習が必要になりますね。という事は、相手が毎回異なるようになりますと、そうも行きませんので、できれば決まった人が居た方が良いという事になります。
ところが、なかなかそういうわけにも行かないのが昨今の事情です。ですから、何とか、大きなヨットに乗りたい方は、パートナーを見つけて頂きたい。

奥さんが舵を握ってくれるなら、それは最高のパートナーです。海外から来る多くのヨットは、だいたい夫婦というのが多いようです。でも、日本ではなかなかそうも行きません。奥さんは海に来ませんね。紫外線恐怖症ですから。息子、娘も来ない事が多い。

アメリカで小さなヨットもたくさん売れるというのは、若い時、若い夫婦や子供が小さい時からヨットに載せてます。20フィートとか、そういうヨットが売れるのは、経済的理由が大きいのでしょうが、小さなヨットで若い時に楽しみ、奥さんも子供も経験します。そして、子供が大きくなるにつれて、ヨットが大きくなったり、子供が巣立つとまた小さくしたり、そういう事があります。

日本では、若い夫婦が小さなヨットで遊ぶという事が殆どありません。ヨットは兎も角、維持費が高いという事が原因のひとつかもしれません。子供にしても、大きくなって、急にヨットに誘っても、来ないのかもしれませんね。だから、日本ではファミリークルージングというのは無いと思います。全く無い事はありませんが、それが主たる使い方にはならないという意味です。

それでは、シングルかダブルハンドでという事で、また、それ以上になりますと、各人の都合というものが、より多く出てきますから、それも問題になりかねないので、できればシングルかダブル。

ダブルハンドなら、結構大きなヨットでも何とかなります。でも、一方で、年とって体力の衰えとかを感じてきますと、大きなヨットの大きなセールの操作は楽ではありませんから、そうなったら、電動ウィンチ等で補う事を考える。誰もが一番にメインハリヤード用に電動ウィンチを考えますが、大きなセールのシート操作も楽ではありません。特に風が強くなるとです。それで、できればシート用のウィンチも電動にすれば良い。このメリットは、電動で簡単に調整できますから、セーリング中に、シート操作が億劫にならないという事です。これが重いと、まあしなくても良いやとなりかねません。
電動なら躊躇無く、もちょっと締めるとか、そういう事をしようという気にもなるかと思います。それをするから面白さがある。特に、最近出てきた逆回転するウィンチ、これは良いなと思います。

という事で、デイセーリングは、シングルかダブルハンドを軸にしておくのが良いと思っています。最低限を可能にしておくならば、時に、何人こようが、どうにでも対応できますからね。

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