第七十八話 プレーニング

ヨットが水を押しのけて走るスピードのは限界があるとされます。それは造波抵抗という小難しい理屈によるものです。その難しい理屈はさておき、こういうスピードをハルスピードと言います。その計算式は、 √水線長(フィート) X 1.34 = ハルスピード(ノット) という計算で算出する事ができます。

例えば、水線長が30フィートあるヨットの場合、 √30 X 1.34 = 7.3ノット このスピードがそのヨットの限界スピードという事になります。 この理屈で言うなら、10ノットのスピードを達成するには、水線長が 60フィートぐらい必要になります。 √60 X 1.34 =10.4ノット

ところが実際には、このハルスピードを越えて、ヨットはもっと速く走る事ができます。小さなモーターボートなんかもそうですが、実際には、短い水線長なのに、20ノットとか平気で走っていきます。 これがプレーニングと言われるもので、水を押しのけて走るのでは無く、滑走して走る事になります。

それで、レーシングヨットなんかですと、できるだけ速く滑走状態で走れるようにする為に、船体を軽くし、船艇をフラットにします。この方が、より速く滑走させる事ができますので、速く走れるという理屈です。

          

レーシングヨット、メルゲス24ですが、プレーニングしている状態が良く解ります。プレーニングしさえすれば、水線長に縛られずに、速く走る事ができます。恐ろしいぐらいのスピードで走っています。こうなりますと、水線長が長い方が、つまりでかい方が速いとは言えませんね。


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