第九十八話 デイセーラーの遊び方

最も重要な事は、自分の感覚を遊ばせてやるという事だと思います。まずは、デイセーラーの美しい姿を愛でる。ですから、いつも美しく、メインテナンスも良い状態を保つ事が基本になると思います。しかし、そう複雑な装置はついていないでしょうから、そう難しい事では無いと思います。

そして、次の感覚は、セーリングにおける感覚です。そこで、十分に感覚を遊ばせる。最も大事な処ですね。上り角度の性能が良いですから、目一杯上らせて、その舵の感覚を味わいます。繊細さを味わいます。その時の風速、ヒール角度はどの程度か?25度あたりなら、丁度良い具合でしょう。その走る感覚を楽しんで頂きたいと思います。

できれば、ジェネカーもセーリングに加えて頂きたい。クルーが居る時だけでも良いですから、ジェネカーセーリングを感じて頂きたい。クルーが居る時なら、もっと舵の微妙さに集中して感じる事もできます。シングルなら、ファーリング方式という手もあります。

そのジェネカーを微軽風の上りにまで使う事を考えれば、退屈な微風を、もっと面白くする事ができます。この事は以前書きました通りです。

さて、あらゆる角度で楽に走れるようになったら、もっと繊細さに迫る事もできます。もっと微妙な感じを感じるようになりますと、感じるだけに、微妙な操作における変化が解るようになります。感じない事には、操作しても変化が解らない。ですから、自分の感覚をどうやって遊ばせるかは、自分次第なんですね。風次第ではありません。風が無ければ、どうしようも無いですが。漂う感じを味わう事はできますが。

クルージング艇のセーリングは、どちらかと言うとゆったり感が強い。悪く言えば、大雑把です。でも、本当は悪くも無いわけで、クルージングのセーリングはそれで良い。でも、デイセーラーのセーリングは、繊細さもあった方が良い。その方が、自分の感覚をより遊ばせる事になりますし、よりセーリングが解るようになります。

強風時には、低い重心の船体と重いバラストが効果を発揮します。感覚はちょっと大胆な感じでしょうか?ちょっとの操作で、反応は大きく違ってきます。その感覚を遊ばせます。

セーリングをスポーツすれば、繊細から大胆まで、自分の感覚をいかようにも遊ぼせる事ができます。それも、自分の意思で、自分制御で、自由自在にです。これが面白くないはずは無いと思います。そして、その日のセーリングを終えたら、メインキャビンでもあるコクピットで、今度は寛ぎの時間です。ゆったりです。セーリング中は寛ぐどころか、緊張して走ってます。終われば、ゆったり。緊張と緩和が、ヨットライフを充実させると思います。

そういう時も思って、音楽と、コーヒーメーカーぐらいは準備しておきたいなと思います。セーリング中にも緊張と緩和がありますが、全体としては緊張の中にあります。ですから、2,3時間の集中セーリングでも十分に堪能できると思います。そして、セーリング終了後の、緩和の寛ぎタイムも是非、加えて頂きたいと思います。さって来て、さっと帰るのも良いですが、通常は、そんな寛ぎタイムで、緊張をほぐしてお帰り頂きたいと思います。

デイセーラーは、緊張と緩和をコントロールして、自分の感覚をいかに遊ばせてやるか。そこにかかっていると思います。それには、自分の感覚に気付く事ではないかと思います。今、緊張しているな、興奮しているな、繊細な場面に集中しているな、気持ちが散漫になっているな、リラックスしているな、そういう事に気づけば、自分の感覚を意識的に遊ばせる方向にもっていけるのではないかと思います。

今日の一曲 クリフォード ブラウン Stardust

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