第五十七話 ヨットに泊まろう

デイセーラーを薦めておきながら、ヨットに泊まろうなんて? デイセーラーだってキャビンはあります。ですから、1泊か2泊ぐらいは、キャンプ気分で泊まるのも悪くない。もちろん、しょっちゅうという話では無く、季節の良い時、秋とか春とかに、一泊しても良いかな。

サンセットセーリングを楽しんで一泊する。或は、一泊して早朝セーリングでもしてみる。多分、誰も居ないマリーナで、静かで、そっと出す。海に出れば、もちろん誰も居ない。

どこかのレストランで飯食っても良いし、泊まるんなら、コクピットで酒宴を催すのも良い。キャビンは寝るだけであります。目的はこの酒宴とサンセット又は早朝のセーリングです。秋も涼しくなれば、キャビンも快適、そんな趣向も悪くない。年に1回でも2回でも、そんな使い方も良いんじゃないでしょうか?

泊まるんなら、何でも揃えたくなるのが人情ですが、敢えてそうしない。年に1回か2回の事ですから。揃うと便利ですが、あればあったで面倒な事もあります。自然の中で、キャンプだと思えば、相当快適なはずです。

秋は空気もだんだんきれいになりますから、秋の星空なんか眺めながら、一杯飲むのも良いもんです。たまには、こういういつもとは違う演出も試みてはいかがでしょうか?気分も変わりますし。
それで、翌朝、吹かなかったら? 吹き過ぎたら? それはそれ、漂っても良いし、やめても良いし、また今度やれば良い。

自然と付き合うのは、そんな感じでしょう。思うようにはなりませんから、思うようにしようとは思わない。完全な受身になります。日頃とは違う姿勢、これはこれで時には良いのではないでしょうか?
なるようになると思えば、ストレスフリー、それが自然の良さでは無いでしょうか?自然に対して、完全な受身になって、一切のストレスを感じなくなれたら、ヨットとの付き合い方が一歩進むような気がします。

いつも、こうしたい、ああしたいと思いますが、でも、自然ばかりは受け入れざるを得ない。それが心から受け入れられると、気分はスッキリするのではなかろうか?

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