第五十八話 三番目のセール

メインセールは上りから下りまで使うオールマイティーなセールです。でも、ジブは違います。ジブは上り用、ジェネカーは下り用、その間を取り持つのがコードゼロ。基本的にコードゼロは少し落とした上り用。それで、セール生地もそのストレスに耐える、でも軽い生地を使います。

コードゼロはジェネカーの範疇に入れられますが、実際はジェノアに近い上り用のセール。ジブの様にファーリングにして使われる事が多い。でも、一般的に、ジェネカーもコードゼロも持つのは面倒くさい。でも、メインとジブだけでは、下りが弱い。

   写真の黒いセールがコードゼロ。
   セール面積は大きく、ドラフトは深く、でも、
   ジェネカーより浅く、シートのリード位置は
   後方から。
   ジェノアみたいですね。

   ラフはテンションがかかって、直線に近い
   ファーリングする時は、このラフにぐっと
   テンションをかけておく。このラフを軸に
   ジブファーラーのように巻き取ります。
   
   そこで、コードゼロ的なセールをスピン生
   地で造る。ファーリングにして。そうすれ
   ば、軽い生地なので、それもジェネカーと
   同じように、後方からシートをリードするの
   で、ジェネカーとしても使えるし、弱い風な
   ら、上りでも使える。我々が遊ぶには丁度
   良いのではなかろうかと考えてきました。

   もちろん、強風の上りなら、ジブを使う。
   こういう生地のセールを上りで使うと、スト
   レスが強すぎて耐えれないかもしれない。
   ですから、ジブで良い。まして、強風にでか
   いセールは上げません。
   
下りを考えますと、ラフが固定されますから、通常のジェネカー程は下れない。でも、130〜140度ぐらいは行けるでしょう。それなら、十分遊べます。レースを目標にしない限り、十分遊べます。
それに、本当に角度を落としていきますと、波が悪いときには、ワイルドジャイブの危険性もありますから、やや上り気味ぐらいの方が安心でもあります。本当はもっと落として走る事も可能ではありますね。ジェノアだって、観音開きも可能ではあるんですから。

ファーリングにしておくなら、ジブとジェネカーと言いましょうか、コードゼロと言いましょうか、これとコースによって使い分ける。どちらもファーリングなら、使い易いと思います。

まだ、こういう感じでこのセールを使ってある方は少ないですが、評判は良いようです。特にシングルの方にはお薦めであります。

ジェノアがダウンウィンドで使えないのは、セールが重いから。風は下りになると弱まりますから、それではセールが重くて、だらりと垂れ下がってしまいます。それに、シートのリード位置も悪い。
それでも、風が強くなったら、何とか開けるようにもなりますが、それでも、シートのリード位置は悪い。それで、強風なら、ジブでも何とかなるが、微軽風対策として、こういうセールはどうかな?

退屈な微軽風の上りから下りまで、これで対応できるようになります。セール面積はでかいですから、下り用では無く、上り用では無く、微軽風の上りから下り用セール。という事で、通常のジブとメインに加えるとしたら、この一枚かな?

もちろん、クルーがおられる方は、コードゼロも良いし、ジェネカーも良い。また、レースに出られる方もそうですね。あくまで、個人的にセーリングを遊ぶ事、シングルハンド、ダブルハンド等を意識しての事です。

ヨットでもセールでもそうですが、何かと何かを兼ねるというのは、その単独目的で作られたヨットやセールに比べると、性能は劣ります。しかし、その性能と自分の使い方における利便性、有効性等を考えて、選択されてはいかがでしょうか?

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