第五十四話 艤装の調整

舵で走る方向を決めたら、他は、セールの角度調整か、形状の調整、これ以外にはありません。いろんな艤装があるわけですが、その目的はこの二つのどちらかという事になります。

しかし、例えば、シートを操作をすれば、セールの角度と形状の両方が同時に変化します。ところが、シート一本の操作で、両方を同時に思うとおりに調整する事はできません。ですから、そのシート操作は角度を意図してるのか、形を意図しているのか、それを明確にした方が良いという事になります。つまり、角度を意識しているのであれば、形は変えないようにしなければならないし、形を意図しているのであれば、角度を変えないようにしなければなりません。もし、両方を意図するにしても、考え方としては別々な要素であると考えた方が良いと思います。

あらゆる操作が、このセール角度か形の調整であると考えれば、常に、今どちらを意図して、どの艤装を操作して、どのように変化させようとしているかが、明確に意識されますから、その意図さえ明確であるなら、今後の学びに対して、システマチックに、構築していく事ができるかと思います。
ただ、風を逃がすとかいう事に対しても、目的は明確ですが、角度なのか、形状なのかというきちんとした意図がある事が、明確な結論も出しやすくなると思います。

その調整の目安がスピードであったり、ヒール角度であったり、横流れや、いろんな要素がからまってきます。しかし、ヨットの目的は走る事にあり、それはセールの角度と形状にほかならない。

後は、その操作をどのように行うかですね。理屈は解った。それなら、実際にどういう具合にしようかとという事になります。その時、シングルなのか、ダブルなんか、或はもっと人が居るのかによって、操作の仕方が違ってきます。ですから、その前提を明確にする必要があります。シングルなのか、違うのか?

そして、実際に頭の中でシュミレーションをしてみても良いかもしれません。手が届くか? 遠ければどうするか? オーパイ使うか?

明確な意図があって、明確な操作があって、それに対する反応があって、それをちゃんと観察する事によって、それがまた、次の明確な意図を生み出す。常に、明確な意図が重要なのではないかと思います。学ぶという点において。それを続けますと、それが習慣のように、当たり前になり、自然とそうなるでしょう。 すると、後はいかに観察力を上げるかが重要になっていくと思います。反応をどれだけ感知できるか?

とっても難しい事かもしれません。しかし、これらの事を頭に入れておいて、時々でも実行に移すなら、それはそれでも良いかと思います。少しづつでも、確実に進む事が重要かと思います。

次へ       目次へ