第38話 どんなヨットが好きですか?

最近、こういう質問をすると、クラシックな雰囲気の木をたくさん使ったヨットという答えが
大変多くなってきました。その方が落ち着く。でもウッドボートでは手入れが大変だし。
FRP製でクラシックなヨット、と言っても、なかなかそういうヨットというのは日本には無い
んですね。残念ですが。

木材というのは、自然ですから、プラスチックというのはどんなに美しく成形されていても
やはり、どこか落ち着かないのかもしれません。それに、傷がついても、木材だとそれも
使い込んだ美しさに変わり、プラスチックだとあくまで傷として残る。そんな気もします。

欧米では探せばこういうヨットがまだまだ建造されています。もちろん、全て木のヨットも
ありますが、FRPを船体にしているヨットもある。そういうヨットが徐々に増えていくのでは
ないかと感じられます。先日、アレリオン28の中古が出たのですが、あっという間に売れ
てしまった。最近、ノルディックフォークやアレリオンなどの引き合いも非常に多いのです。

一方で、こう言うヨットの共通点はキャビンが狭いという事です。この事が日本での広がり
の妨げの一因でもありました。でも、最近は少し事情が変わってきています。ヨットに住まう
ならいざ知らず、1泊か2泊程度、多少狭くてもちっとも構わない。自分でうまく制御ができ
て、美しくて、自分で手入れして、そうやって何倍もの楽しみを見出す。たくさんの動かない
ヨットを眺めて、日本もヨット文化が成熟する方向にあると思います。それが解る為に、今迄
の状態も必要だったという事ですね。進化の過程みたいなものです。

造船所で建造されたヨットは完成品では無い。素材です。その素材を自分流にアレンジして
いく楽しみもある。アイデアさえあればどうにでもなる。そういう楽しみ方もあります。良く、
ヨットは買う前の検討している時が最も楽しかったという人が居ますが、これは間違い。ヨット
は持ってから、もっと楽しくなるのが本当です。

セーリングして楽しむ。手入れを楽しむ。空間を楽しむ。そして、自分流にアレンジして楽しむ
これで4倍の楽しみができます。個性豊かなヨットが増えてほしいものです。

次へ        目次へ