第44話 ヨットは一部

世の中には楽しみはたくさんあるもので、したい事は山ほどある。海が好きだからと言って、山も嫌い
じゃないし、気軽にハイキングも良い。音楽も好きだし、自分で楽器やったり、コンサートに行ったり、
温泉も好きだし、本も読みたい。映画も好きだし、時には旅行にも行きたい。海以外にも、あっちにも
こっちにも、行きたい所はたくさんあります。

ヨットは日常の楽しみのひとつではありますが、これが全てでは無い。従って、大航海しようとは思って
いないのです。日本一周に興味は無いし、レースにも興味は無い(たまには良いですが)。近場をいかに
セーリングして最高のフィーリングを得るか、しかも楽にです。従って、シングルハンドで、楽に操船できる
ヨット本体と艤装という事が常に頭の中にある。シンプルで良いとか言いながら、だからと言って、ヨットな
ら何でも良いとは妥協できません。

まずは何と言っても、姿が美しいことです。これは欠かせない。どんなに性能が良かろうと、気に入らない
ものは気に入らない。まずは美しい姿を持ち、メインテナンスをしてやる程に美しくなっていくヨット。次に、
シングルハンドでも操船がし易いヨットです。誰かがきてくれないと出せないとか、そういうヨットはご免こう
むりたい。良い風吹いてる時に、さーと出したいです。さて、お次はシングルで乗る為に重心が低い、腰の
強い事です。すぐに簡単に大きなヒールをするようではいけません。

それで、美しくて、手入れしがいがあり、低い重心で、操船が楽という条件が揃えば、あとはたいてい妥協
しても構わないと思っています。キャビンは狭くても構わないし、航海灯も非常用でも良い、照明も無くても
キャンプ用などなかなか良いのがある。たまには船内に泊まりたいので、カセットコンロを持ちこむ。

小さなヨットより大きなヨットの方が楽ではあります。でも、大航海しないのですから、時化の中を延々走る
事も無いし、大きなヨットに乗る時はどうせ一人では乗れないので、人のヨットに乗せてもらう。個人的には
こじんまりした美しいヨットの方が好きなのです。その方が自分の手におえる。どうにでもなる。1日中乗る
事もあれば、1,2時間しか乗らない時もある。1日中ニス塗装したりして、遊ぶ事もある。時々、素人も乗る
ので、それこそ手は借りない。自由自在。これが何よりです。他にもしたい事はたくさんある。

もし、暇ができて、それこそロングクルージングに行くなら、誰かと行くなら、やはり40フィートぐらいはほしい。
美しい姿は当然、しっかりしたヨット、帆走性能の良いヨット、乗り心地の良いヨットが良い。でも、私には日常
で40フィートをシングルで気軽に乗る気持ちのパワーが無いので、自分で持つのは小型で良い。年に1回行
くロングより、日常のショートのセーリングエッセンスを得る方が良い。私にとっては30フィートというのは中途
半端なのです。何故かこのサイズを求める人が多い。解らないでも無いのですが。

私にとって、30フィートというサイズは本当に心から、シングルで気楽に乗るには大き過ぎる。でも、ロングに行く
には楽をしたいので小さ過ぎる。結果、日常なら30フィート以下、ロングなら40フィート、両方持てれば理想です
が無理なので、個人的にはロングよりショート、それで選んだのがノルディックフォーク、アレリオン、GH、ロング
とは言わないが、中距離程度ならマリーホルム33なんかでも良い。だいたいショートクルージング以外なら、一人
でどこかに行こうなんて思っていないのです。シングルで日本一周などしたくも無いのです。あくまで個人的ですが。

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