第6話 自然の力

私の義理の父の故郷は宮崎の山の中です。今は下に降りていますが、以前は山のほぼ
てっぺんにありました。それがどういうわけか、最近再び、山に入って、家を守ってるんです
ね。夏は涼しく、空気はきれい、夜は真っ暗で、星がぎらぎら輝きます。人手が殆ど入って
いない山です。今はこの一軒だけがあるのです。この一軒だけの為にちゃんと電気はきて
ますし、電話もある。郵便物は周に2回配達してくれます。ここに泊まると、最高の景色、空
気はもちろん、俗世間から隔離された、自然の力を感じられます。朝には雲海さえ見えるの
です。

話によりますと、最近はいろんな人が訪れてくるそうです。山の中の何も無いところ、それこ
そ本当に何も無い。山と川しかない。自然しかない。それも整備されていない、自然のまま
なのです。こういう所に来たい人達が結構おられるようです。先日はちょっとノイローゼ気味
のような人が、ここを訪れてきたようです。でも、すっかり、元気になって帰られたとか。する
と今度は再び、知り合いを連れ立ってこられた。こういう所に来ると、人工的な物が一切無い
、家はあるのですが、その他は一切無いので、不自由さも自然と受け入れられる。便利な物
が無いのにそのまま受け入れられる。そうなることがストレスを解消してしまうようです。その
ままを受け入れる、何の抵抗も感じない。これが自然の力ではないかと思うのです。

ストレスは今ある状況を受け入れられない事から来ると思います。それが自然の中に入ると
そのまま今を受け入れる事ができるようになる。するとストレスは自然になくなってしまう。
ところが、普段の生活に戻ると再び抵抗し始めます。ですから、時々でも、自然の中に入って
受け入れることを学ぶことが必要ではないでしょうか。

こういう場所へ行くのは簡単では無いでしょう。それで海が手近で良いと思うのです。ヨットに
乗りますと、家庭の便利さと同じ環境は望めません。でも、不便でも良いのです。海に出て、
自然の中に入る、そして自然のままセーリングする。ままならない事も全て、そのまま受け入
れます。自然に文句を言っても仕方無いのです。そうすると、今の状況、不便さ、快適さ、何
もかもをそのまま受け入れます。抵抗しなければ、何のストレスも無くなります。

どんな方法であれ、自然の中に入ることをお奨めします。すると自分が蘇ります。

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