第68話 理性と感性

ノルディックフォーク25に乗ってきました。このサイズでこれ程安定した走りを見せるヨットは、他には無いと
思いますね。微風でもそこそこ走りますし、強風に強い、波にソフト、セーリングが楽しいヨットです。

 

このヨットを理性で選ぶ事は出来ない。理性はあれがない、これが無いとすぐに分析してしまいます。でも、
理性は自分自身を知らないし、自分自身でも無い。理性で選んだヨットが、マリーナに動かずにじっとして
います。ヨットで仕事をするなら、話は別です。仕事で使うなら、何人乗せられるか、どのくらいで走るか、
そういう理性的分析が必要となるでしょう。しかしながら、ヨットはあくまで遊びであります。遊びは自分自
身が楽しむものであり、これは感性の領域だと思うのです。感性は自分が何者であるかを感じとっています。
自分の感性に合った物、それが理性で考えれば不便極まりないものであっても、感性がイエスと言っている
なら、それが当りです。

ところがですね、感性がイエスと言いながら、すぐに理性が動き出して、ああでも無い、こうでも無いと、ほと
んど自動的に理性があらゆる分析を始めます。そして、理性が強い人程、あら捜しをして、その結果、理性
が勝事が多いようです。その結果がマリーナのヨット達ではないかと思うのです。

好きになるのに理屈は要らない。理屈を超えた所で、心は動く、そう思うのです。大きなヨット、小さなヨット
そんな事より、自分の感性が響いた選択、これが大事だなと思わせてくれた一日でした。感性さえ響いて
いれば、あとはどうにかするものです。自分の可愛がっているペットを理性で見るでしょうか。体型が良く
無い。そんな見方で差別するでしょうか。あらゆる角度からみて、良いところをさがそうとするのではない
でしょうか。それは感性が合っているからです。感性が合わないと、どんなに理性的に分析して、素晴らしい
ものであっても、合わないものは合わないのです。

女性を選ぶのには自然に感性が働きます。そして、あとで言葉で言えば、やさしいからとか言います。理性
で選ぶなら、誰もが美人を選び、スタイルが良いのを選び、そういう事になってくる。でも、感性で選ぶので
いろんな人が好きになる。あばたもえくぼとは良くいったものです。どういうわけか、女性を選ぶのには感性
が働くんですね。不思議です。その後、離婚するのはまた別。理性が動き出すからです。

理性で選ぶ、感性で選ぶ、これは違うのです。心の割合が多ければ多い程、感性で選ぶべきだと思うの
です。でも、気をつけないと、理性はあらゆる隙間に入り込んで、無意識のうちに感性を負かし、自分を支配
します。何故なら、理性は見える、感性は見えない領域だからです。見える世界で生きている我々は、見え
ないものがなかなか解らない。科学万能の世界は、そのように仕向けてきた。科学は必ずしも幸福ばかりを
生み出すものでも無いようです。

遊びは理屈抜きで、感性で遊びましょう。これが最も楽しむ秘訣です。

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