第十二話 デイセーラーのセーリング

デイセーラーは短距離走です。1日に2〜3時間の短い時間に、濃厚なセーリングを楽しむ事を主たる目的にしています。だからこそ、気軽に取り組める様でなければならないし、その気軽さはサイズの事もありますし、操作性もあります。気軽だからこそ使用頻度も高くなります。そして、短時間だからこそ、集中力も発揮できるし、それだけにセーリングの妙も味わえます。

そういうヨットには、キャビンは不要とは言わないが、あまり重視する必要も無い。それより、その分、軽くしてパフォーマンスを上げた方がセーリングの面白さを味わえます。そして、キャビンが小さければ、ボリューム感も少なく、なんてったって、気持ちがグ〜ンと気軽です。

長い間、殆どのヨットがより大きなキャビンを演出して、モデルチェンジする度に、より大きなキャビンを強調してきました。それで、ヨットの稼働率が上がってきたかと言いますと、全くそうとは思えません。もちろん、キャビンを楽しむ方もおられますが、これは欧米では普通かもしれないが、日本では一般的とは言い難い。それに無理していて、美しくない。

デイセーラーの登場は、そこに風穴を開け、セーリングを見直すきっかけを作ってきたと思います。セーリングそのものが、いかにヨットにとって重要な要素であるか、セーリングはレーサーの専売特許では無いわけで、誰もが、もっと気軽にセーリングというエキゾチックなスポーツを楽しんで頂きたいという提案です。

長距離を走るなら、それなりの装備が必要だし、ヨットもそれなりの性能が必要になります。でも、この性能は短距離走で必要な性能とは全く違う。楽しみ方の種類が違うわけです。多くの方々が、ヨットを始めるにあたり、遠くに行ってみたいとか夢を描かれます。それはそれで良いわけですが、別の夢として、ヨットを自由自在に操って、セーリングを堪能してみたいという夢もあって良いわけです。キャンピングカーを買って、日本一周するか、或は、スポーツカーでドライブを楽しむか?

どっちが上でも下でも無いわけですが、私的には、スポーツカーの方が面白いと思っています。ロングで時化に合うのは辛い。でも、それが短距離なら、面白さに変える事もできる。何故なら、短時間だからです。それにいざとなったら、帰る事もできますし。外洋なら何日も耐えなけえばならないかもしれません。そんな事はまっぴら御免。

それで、短距離なら、セーリングの妙を味わったり、テクニックを身につけたり、スピードを楽しんだり、長距離とは違う楽しみ方になります。2〜3時間の短いセーリングだから面白いと考えます。

大きなヨットから小さなヨットに変える事は抵抗がありますでしょうか? 欧米では、多くのビッグボートのオーナー達が、デイセーラーに乗り換えています。買い換える度にサイズが大きくなるのは、もう昔のやり方です。自分サイズを見つけて、もっとヨットを気軽に堪能できるようにした方が良いと思います。せっかくヨットに縁を持ったわけですから、たっぷり楽しまないと!

ヨットを趣味として、ヨットのありとあらゆる面白さを味わってやろう。短距離には短距離としての遊び方があります。

次へ      目次へ