第二十七話 ジブブーム
| デイセーラーはセルフタッキングジブですが、ジブブームを設置しているヨットと無いヨットがあります。その考え方の違いは何でしょうか？ ジブブームがあると、風向がどの方向から来ようが、ジブセールをきれいに開く事ができます。だから、上りから下りまでオールマイティーに使う事ができます。よって、ダウンウィンド用のセール等は必要ありません。これはシングルハンドには非常に重宝します。 でも、ダウンウィンドにおいて、ジェネカー等のでかいセールを展開しますと、そのパワーはジブセールとはセール面積が全然違いますから、スピードに差がつきます。それで、ジブブームの無いデイセーラーは、第三のセールを使うという前提があると思います。この事は、恐らく、ジェネカーにおけるファーリングシステムの発達によって、ジェネカーが展開しやすくなったという事が要因にあるのではないかと思います。もちろん、ジブブームがあっても、第三のセールを展開する事も可能です。 また、通常のセルフタッキングジブは上りには良いのですが、そのシートの位置からして、角度を落とせば落とすほどにセールの形としてはよろしくない。通常のヨットでも、ジェノアは上り用です。ただ。ある程度の風があれば下りにも使えない事は無い。同じですが、セルフタッキングジブは、ジブをもっと上りに徹して、その他は第三のセールを使っていこうという考え方だろうと思います。 ジブブームの効用は、第三のセールを必ずしも必要とはしないという事です。ただ、シングルで乗る時とか、強風の時とかは、メインとジブ、慣れてきたら、もっとと思えるようになったら、或は、クルーが居る時はジェネカーを展開するとか、いろいろ臨機応変に対応する事ができます。 ジブブームはゲーリーホイトという方が発明され、彼は、かつてはアレリオンの関係者で、今は退いておられます。その発明は現在でもアレリオンに採用されておりますし、また、ライセンス生産にて、フォアスパー社でも造られています。 ジブブームがあれば、セールはメインとジブだけでも良い。この考え方は、シングルハンドを想定した時に、どうしてもダウンウィンドにおいては、下り用のセール、ジェネカー等が必要になりますが、ジブブームがあればこそ、ジブとメインだけで全方向を走れるというイージーハンドリングを可能にしたという事です。 今日、そのジェネカーにしても、ファーリングという方式が生まれ、以前よりも操作し易くなりました。シングルでも可能にもなりました。しかし、それでも、ジブブームの操作性の容易さは、特に、シングルハンド時には効果的だと思います。 また、ジブとジェノアではセール面積が全然違います。だからジェノアの方がパワーはあるわけですが、角度を落としていきますと、きちんと調整できなくなるジェノアより、ジブブームを持つジブの方が効果的であると造船所は力説します。 そんな事より、ジブブームは第三のセール無しで全方向を走れる事を可能にした。それが最も意義のある事かと思います。そのうえで、第三のセールを使うか使わないかはオーナーの自由選択として残されています。 |