第三十一話 デイセーラーができる事

ヨットで何を楽しみたいかと言えば、友人を誘って、自由自在にセーリングを楽しめれば楽しそうです。きっと楽しいに違いない。時に、ローカルのレースに参加して、そこそこ走ってパフォーマンスを楽しみたい。最近はローカルレースと言えど、結構なレーサーも出てきたりで、優勝できるかどうかは解りませんが。デイセーラーはレーサーではありません。ハイパフォーマンスのスポーツとしてセーリングを楽しむヨットです。

それで、セーリングを自分なりに、遊びながら探求していきますと、当然ながら、自由自在に操船できるようになります。その自由自在感を持てれば、ピクニックしようが、クルージングしようが、ひとりだろうが、誰かと一緒だろうが、どうにでもできる。

冷蔵庫があるとか、温水が出るとか、たくさん寝れるとか、電子レンジがあるとか、そういう問題では無く、便利だという問題では無く、自由自在感なのです。便利は良い。しかし、便利が面白いわけじゃない。便利は楽しさを演出するかもしれないが、面白さを演出するわけじゃない。面白さが第一と考えます。

ある日、いい天気、これから春ですね。たまたまやってきたマリーナで、今出たら気持ち良いだろうなと思う事があります。たった5分で出航準備してすぐ出せる。1時間でも、2時間程度でも、気軽にセーリングの妙を味わってくる事ができます。友人を招待した時でもOK。 キャビンは狭いかもしれないが、コクピットは広い。セーリング中にキャビンにこもる必要はありません。

真剣セーリングとゆったりセーリング、どちらでも自由自在に操船できる。しかも、ハイパフォーマンスで、誰でもできる。初心者でも操作し易いし、ベテランの方にも応えられる。恐らく、セーリングを遊ぶという面においては、最高のヨットだと思ってます。それに質の高いセーリングを味わ得る。

宴会だって、コクピットでやります。コクピットこそが、デイセーラーのメインサロンなのであります。
だから、必要以上の居住性をキャビンに求めていません。それは、セーリングを阻害する要因になりますから。重心は上がるし、風圧面積も大きくなります。そして、でかいボリュームは気軽さを失わせかねません。

何を楽しむも自由ですが、その基軸はセーリングを楽しむ事。それもシングルハンドで。、元々、シングルハンド仕様として建造されているのは、唯一デイセーラーだけだろうと思います。オーパイを使えばシングルが可能というのとは違います。

それで、デイセーラーに、何ができるか? 何だってできますね。ただ、得意はセーリングを楽しむ事です。超ハイパフォーマンスのレーサーの如きデイセーラーだって、敢えてシングルハンド仕様にしています。それがデイセーラーとしてのコンセプトです。だから、レースの時は友人と一緒に楽しむも、普段はシングルや家族で楽しめるようにと考えます。

では、デイセーラーにできない事とは何でしょう? それは、外洋のロングクルージング向きではありません。しかし、今年の春、アメリカ西海岸から日本へ向けて、29フィートのデイセーラーが出航します。ノンストップでやってきます。キャビンが狭いからロング向きでは無いと言いますが、ヨット自体はそんな事だってできるという事です。

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