第四十八話 キャビン

入ったら座る。それが基本です。座っている分には何ら不自由はありません。寝てもいいですが。そのキャビンにあるのは、シートと、バウバース、それにトイレぐらい。(大きなサイズは別ですが)何もできない様で、特別何もする事は無い。

携帯ガスコンロを持ち込めば、コーヒーぐらいは飲める。もちろん、飲むのはキャビンでは無く、コクピットです。メインサロンはコクピットです。清水タンクがあっても、タンクの水は飲む気がしないので、ペットボトルの水を使う。ちょっとお湯を沸かせれば、カップラーメンだってOKです。
その日に必要な物を持ち込めば、何ら不自由はしない。

キャビンは狭いが、寝泊りOK, 読書もOK、音楽聴いても良い。ヨットを走らせずにする事は、そう多くは無い。大宴会でも開かない限り、不自由は無い。狭いがとっても気楽です。

その気楽さがあるから、気楽にヨットを出す事ができる。その方が大事じゃないか?ヨットなんだから、家じゃないんだから。別荘だったら、広いに越したことはないが、今度は気楽さを失う。さて、どっちが良いか?

何にも無いから、壊れる処が無い。だったら、メインテナンスだって楽になる。その分、セーリングにエネルギーを費やした方が面白い。冷蔵庫あったって、スイッチオンですぐに冷えるわけじゃない。それなら、ソフトでちっちゃなアイスボックに、コンビニで飲み物と氷を入れてくるか。氷は溶けるので、家の冷蔵庫で冷やしておいた保冷材が良いか。そのアイスボックスを、セーリング中はコクピットに転がしておいても良い。ソフトタイプだから心配無い。

デイセーリングなら、必要な物は多くは無いので、これまた気楽です。時に、誰かを誘ってあげましょう。ライフラインが無くったって心配は要りません。コクピットに座っていてさえもらえば大丈夫。
舵とメインシートはオーナーが操作して、ジブシートぐらいやってもらいますか。ウィンチも必要無いし。或は、、時に、舵をお任せしても良い。そうしたら、彼か彼女の舵操作で、オーナーはセール操作。セルフタッキングだし、楽々です。

ゲストに舵を預けると、ゲストは楽しめますね。意外に女性だって大喜び。緊張してそうに見えて、案外楽しんでる。だいたい、遊園地のジェットコースターだって、女性の方がワーキャー叫びながら喜んで乗ってます。彼女達は、スリルが好きなのかもしれない。それもこれも、オーナーを信頼しての事。だから、オーナーは慣れていた方が良い。

キャビンを使うのは、雨の時か寒い時ぐらい。それでもセーリング中にキャビンに篭る事は無い。
それで、セーリング中以外なら、寒い時や雨の時は、ヨットを離れてレストランへ移動した方が良い。その為にでっかいキャビンが必要だろうか? クルージングでも、ホテルに泊まる方法もある。必要ならば。 使い様、考え様だなと思います。

キャビンがその程度の使い方で良ければ、ヨットは違う使い方ができる。もっと面白いセーリングを味わう事ができると思うのです。

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