第七十話 スポーツ度

セール面積/排水量比をスポーツ度とか、勝手に名前をつけたりしましたが、そのスポーツ度はそれだけでは無く、もっと広い範囲に使うべきではないかと思います。

何のスポーツをするにも、それなりのスタイルがあるわけで、車のドライブにもスポーツがあって、ドライビングスポーツとか言っても、少なくとも、キャンピングカーでそれは無いでしょう。やっぱり、ある程度以上のセーリングパフォーマンスがある方が面白い。

それはそのヨットがどれだけセーリングを重視して建造されているかではないかと思います。アレリオン28のセール面積/排水量比が約18ですが、沿岸クルージング艇にもそれぐらいの数値を持つヨットもあります。ですが、スポーツ性というのは、この数値だけで表されるものでは無い。排水量が全く違う。それで同じ数値なら、セール面積は遥かにアレリオンの方が小さいわけです。だからシングルでも操作し易い。

さらに重心の高さが違う。船体強度が違う。操作性が違う。目的が違うのですから当たり前ですが、それをスポーツ度という事で見ますと、全然違う。それはパフォーマンスのみならず、全体のセーリングが違い、それらは重要なフィーリングに影響します。

セーリングにおけるスポーツとは、他のスポーツとは違い、肉体的なスポーツというより、頭脳とフィーリングのスポーツではないかと思います。同じスピードで走っていても、感じる処は全く異なるわけです。これらがいかに重要か? それがスポーツセーリングなら、とっても重要かと思います。

だから、スポーツ度とは、セール面積/排水量比だけでは無く、重心位置、操作性、船体の硬さから来るフィーリング、レスポンス、ありとあらゆるセーリングに関係した要素のトータルで考えるべきかなと思います。

もちろん、レーサーのスポーツ度は高い。しかし、デイセーラーはシングルハンドが基本です。何故なら、その方が、自由が効くから。チームでやるスポーツも良いが、昨今では、なかなかこれが難しくなってきました。レーサーの場合でしたら、スポーツ度というよりレーサー度として考えた方が良いかもしれませんね。スポーツ度とは、あくまでレーサーとしてでは無く、セーリング自体を堪能する為かと思います。

もし、やれるとしたら、それぞれがシングルハンドで、2、3艇で一緒に走るとか。そういうセーリングもたまにはできると面白いかなと思います。レースの様でレースで無い。一緒に走ると面白いです。でも、同じヨットで走るなら、もろに腕の差が出てきますが、そこはそれ、楽しめば良いんじゃないでしょうか?必死なったらいけません。所詮は遊びですから。徐々に上手くなっていけば良い。

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