第七十三話 アクセル
| スポーツカーに乗って、まずはエンジン始動、その状態でギヤを入れる。アクセルは踏みません。まあ、オートマチックギヤの場合になりますが、これはそのスポーツカーの最小パワーです。スローの状態です。それで、ゆっくり走り出します。そこからアクセルを踏んでいきます。 さて、それをデイセーラーで考えますと、セール面積を最小にします。ジブは巻き取った状態で、メインも最小にリーフした状態。スロー状態です。そこからスピードを上げる為にスポーツカーはアクセルを踏み込み、ヨットの場合はセール面積を増やす。 ヨットの場合で、基本をジブとメインのフルセールと考えれば、下げたり、上げたりになりますが、基本を最小セール面積と考えれば、そこからどれだけセール面積を増やすかというアクセルと同じ考え方になります。 ただ、ヨットの場合はその時の風の強さに寄りますから、その状況を考えつつ、セール面積をどこまで増やすかという事になります。スポーツカーは燃料の量を調整しますが、ヨットの場合、セールというエンジンパワーを増やす事ができる。その代わり、燃料という風はこちら側では調整する事ができないので、その時の風速（燃料量）との兼ね合いを調整する事になります。 最小セール面積から、ジブを出し、メインのリーフを解き、さらにコードゼロとか、ジェネカーとかを展開する事ができます。最小面積と最大面積の差は、非常に大きいので、かなりの調整幅が許されます。これはスポーツ度の調整ができるという事になります。 そのスポーツ度の調整を、基本である船体の性能をベースに行う事になります。最小セールでも軽いヨットは重いヨットよりも速いですし、その性能に合わせた調整をしていく事になります。 一般的には、フルセールが基本だと思ってきました。しかし、そのヨットの最小セール面積を基本と考えれば、これからどれだけのセール面積に増やすかと考えても良いかと思います。セール面積の調整は、セール調整の基本にあります。そして、面積を決定したら、そのうえで、セールの形状や角度を調整する。まずは、その風速に対するセール面積の調整から始まる。それはその時のスポーツ度を自分で決めている事になります。それはアクセルをどれだけ踏み込むかと同じ事になります。 アクセル調整の基本はセール面積の増減、ゆっくりしたい時、できるだけスピードを出したい時、時に応じて、アクセルを調整します。いわゆるセール形状の調整は、そういう意味からすると微調整になるのかもしれません。 何度も乗れば、自分の走り方において、自分のヨットの性能において、どの程度の風速で、どの程度のセール面積が良いかが解ってきます。そのうえで、セールの角度と形状を調整していきます。 セール面積の調整は、セーリングを遊ぶうえにおいてのベースを作る事になります。強風において、ジブとメインのフルセールで楽しめる限界を知れば、セーリングを意識的に操作する事ができますから、何となくより、きちんと意識的して調整をする事は重要ですね。それが積み重なって自分のノウハウにする事ができますから。そのノウハウがたくさんになればなる程、楽に遊ぶ事ができると思います。 |