第四話 走らせる面白さ

レースの面白さ、旅の面白さ、そしてセーリングには走らせる面白さがあります。これら三つは、同じヨットでありながら、その様相は全然違います。デイセーラーは走らせる面白さ、ドライブフィーリングですから、スポーツカーと同じだといつも言ってます。車にスポーツカーというジャンルがあるのですから、ヨットにもそういうジャンルがあって良い。むしろ、ヨットの主役はセーリングであり、実用性を求めるわけでも無いので、尚更、セーリングが強調されても良いと思います。

如何に走らせるかは、その風に対して、どのような調整をすれば良いかという事になり、それが上手くいけば、グッドフィーリングを得る事ができます。その為に、いくつかの艤装があり、その組み合わせを考える事になります。

風の変化のパターンは細かく言えば、無限にあり、それをセールで受けて推進力に変えて走ります。そのパワーの作り方によって、ヨットの走りは違って来る。そこを楽しむのがセーリングです。
前にも書きましたが、セーリングは動かすだけなら簡単です。という事は、これは大雑把という事になります。つまり、上手くなればなる程、繊細になる。より違いが解る。という事はそれに応じたヨットが求められれる。それがデイセーラーというわけですから、やっぱり、デイセーラーはスポーツカーと同じです。低い車体、高いボディ剛性、やっぱり同じです。

スポーツカーの評価はそのスタイルとまずはエンジンと重量でしょうか? デイセーラーのスタイルは大きく分けるとクラシック系とモダン系、そして、もうひとつはセール面積/排水量比でしょう。この数値が大きければ大きい程、速いし、繊細でもあります。つまり、スポーツ度が高くなります。
オーナーがその気になれば、より繊細なセーリングも可能という事になります。仮に、これが低くても、基本的にスポーツカーなので、クルージング艇とは違います。

風が吹いて、それにセールを合わせる為に、バックステーやトラベラー、バングやカニンガム、等々の調整をしながら、セールを整える。そして、より快走を実現していく。風が変われば、また合わせる。いろんな工夫をして、その場でその結果が現れる。だから面白いんですね。

微風に対する第三のセールは、言わば武器になります。そして、強風に対するセールのリーフは防御です。この二つを持っていれば、鬼に金棒です。走ってるか走ってないか解らない様な時でもスーっと走ると気持ちが良いし、ヨットは走ってなんぼですから。それに、強風だって、リーフして、安心してその強風を交わしながら走る感覚を楽しめる。自由自在に走れると、実に面白い。

デイセーラーというヨットは如何にセーリングからグッドフィーリングを得られるかと言う事をコンセプトとしています。あるイタリア人オーナーは、そのデイセーラーを評して、セーリングに関して、これほど自由を感じた事は無い。これまでに、10艇以上のヨットを乗り継いできたが、デイセーラーの良さは、この自由自在の感覚にあると述べています。また、あるオーナーは、年に、何回かのレースにも参加するが、でも、その大半はピクニックしたり、スポーツセーリングしたりが一般的だそうで、このオーナーも例外では無い。でも、ピクニックセーリングであっても、とても楽で良い気持ちになれる。退屈なセーリングはもう結構と言ってます。

また、あるアメリカのオーナーは、クルージング艇とデイセーラーの二つを所有、でも、結局は、殆どデイセーラーで気楽にその走りを楽しんでるそうです。また、購入して15年になるが、今でも、みんな美しいと言ってくれる。これからもずっとファミリーと共ににあると思うと述べています。

走る喜び、走らせる面白さ、セーリングには、そんなパワーがあると思います。デイセーラーセーリングのドライブ感は、一味も二味も違います。

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