第七十七話 スピード

デイセーラーにそこまで必要か?と思ってしまう程、ハイスピードのデイセーラーまで出てきました。一体、どこまで行くのやら? スピードを求めるのは人間のDNAなのかもしれません。多分、造る側はどんどん追求していくでしょうが、それらを市場が選択のふるいにかける。さて、市場はどう反応するのか?

今回のご紹介はスイス製です。Blu30、排水量はわずか1500Kg、セール面積が47uです。これで計算しますと、SADRは36にもなります。何とも速いヨットです。デイセーラーもここまでやるか? という感じです。残念ながらバラスト重量が解りません。推測ですが、多分600kg〜700kgぐらいかな〜? だとするなら、それでこのセールなら、かなり早めのリーフが必要になると思います。そこで、このデイセーラーの意図を考えますと、デイセーラーとは言え、クルーを伴うレースをより意識しているのではないかと思います。それで、普段のシングルでは、早めのリーフをどんどんやって、でも、フルセールでの走りは速い。微軽風なんかでも速いでしょう。

セーリングをどう楽しむかですね。ただひとつ言えるのは、いろんなデータを見て、その数値がイコール楽しさでは無いと思います。数値はあくまで参考です。その数値だったら、このぐらいのスピードが出るかなという参考にはなっても、それはそのまま楽しいとは限りらない。という事は自分の楽しさはどこにあるか? でも、このヨットはこれで良いし、いろんなヨットがあって良い。選択の幅が広がりますから。このヨットは、風を上手く逃がす事さえ心がけていれば、このヨットのスピードを楽しめると思います。もう少しセールが小さいと乗り易くなるかな〜と思わないでもありませんが、これはこれで良いのかもしれません。リーフすれば良いという事になります。

似たようなハイスピードデイセーラーにイタリアのディナミカ940があります。でも、こちらは、バラストが1,170kgあって、そのせいもあって、排水量が2,200kgです。SADRは32.9です。このバラストをBlu30の割合(セール面積に対する割合)まで下げれば、ディナミカ940のSADRは37になります。船体を軽く造って、そのうえで、バラスト重量をどうするか? それが排水量にも影響するし、強風にも影響する。どっちが良いという問題では無く、乗り方に対する考え方の違いという事になると思います。いろんなデイセーラーが出てきて、面白いですね〜。

  


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