第三十話 もうひとつの選択肢




       この20年ぐらいは、クルージング中心として考えられてきました。GPSの出現は、それを加速させたかも
      しれません。さらに、クルージングにあったら良いなと思える、冷蔵庫、温水、エアコンまで設置し、同時に
      ヨットのボリュームもでかくなってきた。そして、さらに、それをサポートする横歩きする装置まで出てきました。
      こうなると、もう頂点に達してきた感があります。

      そこにデイセーラーが出現して、そろそろ、スタイルが変わる時期に来たのかなと思っています。クルージ
      ングからセーリングへとです。もちろん、クルージング艇の今の路線が無くなるわけじゃない。むしろ、この
      ままあり続けると思います。しかし、今のクルージング艇は、ちょっと行き過ぎた感もあります。長さはそれ
      ぞれですから良いとしても、ボリュームがでかくなり過ぎてきた。ちょっと気軽に乗るには、でかすぎる。でも、
      これまでは、他に選択の余地は無かったわけです。

      デイセーラーの出現は、選択肢が増えたという事です。レースしない方々が、みんなクルージングとは限り
      ません。遠くに行く暇が無い人達も多いし、近場で、もっと気軽に、セーリングしたいという方々も少なくない
      と思います。そして、近場なら、セーリング自体をもっと深く楽しめる。 フィールドを遠くから、近場に持って
      くるだけで、いろんな事が気軽にできるようになる。
      
      ヨット先進国のアメリカのある雑誌は、ヨットがでかくなり、装備が増えるに従って、セーリングをしなくな
      ってきた。でかいキャビン、多くの便利装備、本当にそれが必要だったのか? と今更ながらの疑問を投
      げかけている。それらが出回る前は、みんなデイセーリングを楽しんでいたのに、みんな動かなくなったと。

      それに気がついた欧米人は、スタイルを変えてきた。温水、要らない。冷蔵庫、要らない。キャビン、あん
      なにでかい必要は無い。必要な物と必要で無い物が冷静に選択されるようになってきた。長期のクルージ
      ングに必要な多くの装備は、近場では必要が無い。そうなると、ヨットは、よりセーリング寄りになります。

      でかいフル装備のヨットで、長期のクルージングに行く。それも有り。でも、みんながそれを求めているわけ
      では無く、ただ選択肢が他に無かっただけです。そこにデイセーラーの登場という、当たり前の状況変化
      が現れただけです。という事で、今では、レース、沿岸クルージング、外洋クルージングに加えて、近場で
      セーリングを堪能できるデイセーラーという選択肢が増えました。 遠くも良いけど、近場をもっと充実させ
      た方が良くはないでしょうか? ヨットをもっと身近に感じれた方が楽しいし、面白いと思います。

      
      
      このヨットはイーグル36、36フィートでも、気軽に走れます。クルージング艇とはボリュームが全然違います。
      それに、パフォーマンスは高い。
        

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