第三十二話 時間




     もし、それを楽しむに8時間かけるとしたら、1日をたっぷり遊ぶ事ができます。しかし、そういう時間的な長さ
     を考えた時、そうそうしょっちゅうやれるものだろうか? でも、それが2〜3時間だとしたらどうだろう? 多分
     頻度は格段に上がるだろうと思います。先日のテレビでは、プロのピアニストが、毎日8時間練習すると言って
     ましたが、プロになろうと言う話ではありませんから。
     
     ただ、これは単なる時間の差という事には終わりません。セーリングに集中して8時間乗るのは、大変な事、
     でも、2〜3時間なら、かなり集中して、濃厚な時にする事はできる。2〜3時間なんて、セーリングしていると、
     あっと言う間の出来事かもしれません。でも、だから良いんだろうと思います。

     集中セーリングがもたらすものは、緊張感、鋭敏な感知能力、だから、いろんな事に気づきます。それがある
     からこそ、さらにセーリングの事が良く解ってくる。2〜3時間という長さは、いろんなスポーツがそういう時間
     で区切られています。コンサートや映画なんかもそうです。つまり、人は、ある事を楽しむに丁度良い長さなの
     かもしれません。

     朝から出たら、昼から違う事もできるし、マリーナでアフターセーリングでも良い。コクピットでリラックスでも
     良い。或いは、午前中はのんびりしてて、昼から出ても良いし、夕方からサンセットセーリングでも良い。
     そういう気軽さをもって、軽いスポーツをしに行く感じでも良い。実に、過ごしやすい時間なのではないでしょう
     か? それをシングルでやれるなら、自由自在です。ここで大切な事は、その時間に対する気軽さです。

     年間を通せば、微風もあれば、強風もある。、雨も降るし、雪も降る。都合の良い条件ばかりではありません。
     でも、気軽なセーリングは、次の機会がすぐにある。もちろん、その微風や強風も楽しめれば、それに越した
     事はありません。ヨットと、気軽なお付き合いをしては如何でしょうか? でも、その短い時間は、充実したセー
     リングです。その気になれば、頭も使うし、感性も鋭敏になっていきます。美しいヨットを美しく走らせるとは、
     そういう事ではないでしょうか? 短時間だからこそ、できる事があります。

     また、初心者の方でも、まずは、一回を2〜3時間程度の区切りで、できるだけ頻度高く、乗り続ける事をお勧
     めします。恐らく、あっという間に、上手くなると思います。但し、意識はセーリングにある事が必要です。解ら
     無い事が多くても、意識がセーリングにあれば、自然と観察してます。感覚もそこにあります。ですから、多くの
     変化に気付くようになると思います。気付くから、どうしようと考えます。考えるから、答えを見つけようとして、
     結果的に上手くならざるを得ないと思います。こういうプロセスは、面倒どころか、実際にやってみると面白い
     と思います。

          

     

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