第四十七話 悩ましい問題



      
誰でも、セーリング性能が良い事に反対は無いと思います。スイスイ走れると、何と気持ち良い事か。これぞ、ヨットの醍醐味ではないかと思います。しかし、そこで、悩ましい問題になるのは、キャビンです。 キャビンを大きく造ると、排水量は重くなるし、重心も高くなる。そうなると、帆走性能を削ぐ事になります。でも、あると、キャビンで寛げるし、酒盛りもできるし、大人数泊まれる。

それで、キャビンを優先したのがクルージング艇だし、セーリングを優先したのがデイセーラーという事になります。どっちが良いんでしょうね? それで、少しでもその両立を狙うと、サイズが大きくなります。でかいヨットは、帆走性能にしても、安定性にしても、キャビンの広さにしても、全ての点において有利です。でも、不利な事もあります。気軽になれるかという問題です。

キャビンライフ VS. セーリングライフ という事になるのかもしれません。 そこで、クルージング主体ならクルージング艇、セーリング主体ならデイセーラーという常識的な振り分けになりますが、さらに、日常のライフスタイルを加味して考えると、どうなんでしょう?

ここで最も問題になるのは、時間です。ヨットにどれだけの時間を割く事ができるかです。その時間は、一日に使える時間もあれば、月単位、年間単位という事もあります。その時間から自分のスタイルを見る方法もあるかとは思います。

それともうひとつは、行動範囲です。これは時間とも関係してきますが、広い範囲なら、クルージングになる。ならば、それはどこまでの範囲か? もちろん、往復と現地での滞在時間、時化た時の予備等々ですから、そこに時間が関係してきます。費やせる時間と、行動範囲、それと頻度、ここから考えても良いのかもしれません。

悩ましい問題で迷う時は、現実的な処から考える方が良いのではないかと思います。ただ、人間ですから、時間も無いのに、遠くへ行きたいと考える事もあります。でも、今は時間が無いとするなら、デイセーリングを深く堪能した方が良いと思います。その方が、将来、時間ができたら、遠くへ行けるチャンスは大きくなると思います。

未来は夢ですが、今は現実。今できる事を楽しんで、未来は夢として持ち続ける方が良い。その今できる事にしても、夢とかけ離れた、全く事なる事では無く、繋がっている事ですから。今できる最大限の楽しい事、面白い事をする方が良いし、そこで楽しめばこそ、未来に発展して行けます。今楽しめなければ、未来を閉ざす事になるかもしれません。

        

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