第七話 B 52



     さて、ここからはさらに大きくなって、50フィートオーバーのデイセーラー。まずは、イタリアのブレンタ氏の
     デザインによるB52。このサイズでデイセーラーに徹したのはあっぱれ、そのお蔭で、排水量は9,400kg
     と軽く、そのうち、バラストが 5,100kg と非常に重い。 セール面積は168uで、バラスト重量とセール
     面積の対比をみると、5,100÷168=30.4kgで、B42と変わりません。という事は、サイズアップの
     メリットをパフォ−マンスを上げる事に使った例という事になり、SADRは38にもなります。安定性としては
     充分という事でしょう。それに、バルブキールで、もっと深い。
        
     一般的な沿岸用クルージング艇なら、排水量が17,8t ぐらいになるかと思いますが、このヨットは非常に
     軽い。だから、速い。しかも、バラストが重いので、安定性も高い。つまり、でかくなればなるほど、安定性も
     高くできてパフォーマンスも高くできる。サイズアップメリットの典型ですね。

     但し、デイセーラーに徹し、排水量を軽くする代わりに、キャビンはシンプルのまま。セーリングへのこだわり
     が強いヨットです。もちろん、シングルハンド仕様ですが、日本でこのサイズをシングルで乗るには、心理的
     ハードルが高すぎるかもしれません。でも、問題は、マリーナからの出し入れで、慣れの問題とも言えます。
     ですから、最初はダブルハンドで慣れていけば可能かもしれません。

     たまにですが、、でかいヨットでも平気でシングルで出される人が居る。エンジン操作が実に上手い。彼ら
     は実に思いきりが良いです。スロットルを瞬間的に大きく動かしたり、小さくしたり、そういう操作に慣れている
     それが上手くできれば、こんなサイズだって気軽になれる。

     こういうヨットに乗られる方はどんな方なんでしょう? イタリアンスポースカー的匂いがプンプンします。
     でかいけれど、居住性は低い。でも、セーリングは速い。その潔さがカッコ良い。このデザインはユニークです。

  
  
  
   
    

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